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自立支援の当事者組織
-ホームヘルパー委託事業-

野上温子

 1999年8月CILくにたちでは、CILとは別組織の「ヘルプ協会くにたち」を設立し、国立市から委託を受け、ホームヘルプ事業を開始した。援助為(エンジョイ)センター事務所の一角を借り、職員も委託事業で採用し、CILとは別に運営がなされている。この委託は、行政側からの要請と、これまで自選ヘルパー(直接市に登録)を使っていた利用者の要望により生まれたものである。市のヘルプ事業の指定業者になるためには、法人格が必要なため、社会福祉法人幹福祉会の傘下に入り、法人が受け皿となり、別組織を立ち上げた。

社会福祉法人幹福祉会の事業

 幹福祉会は、97年3月第2種社会福祉法人として認可された。この法人は、今は亡きCIL立川の代表だった高橋修氏の肝入りで、設立された。法人設立以前の96年4月、高橋氏はCILとは別に、ヘルプ協会立川を立ち上げ、民間任意団体としては初めて、立川市のホームヘルプ事業の委託を受けたという経緯がある。幹福祉会の運営理念は当事者主体であり、理事、評議員、監事の役員は、障害当事者、障害児者の家族、CIL関係者で構成されており、ヘルパー派遣事業を中心に、障害者の在宅生活を支える事業を展開していくことを目標としている。法人設立後地域のCILと連携し、立川、八王子、国立、国分寺、東大和(老人が主)の五つの市で、ヘルプ事業の委託業務を実施、今後さらに近隣地域の委託を受ける予定である。

ホームヘルパー委託事業を実施する意味

 現在、全国のCILでは介助サービスを事業の中心に据えている所も多い。重度障害者の自立生活にとって介助者は、なくてはならない存在だからである。
 ヘルプ事業が人件費方式から事業費方式に変わり、また近い将来利用者が選ぶ契約の時代に変わろうとする時になって、東京などでは、CILの介助サービスとは別に、NPO法人や社会福祉法人を設立したり、その傘下に入り事業所登録し、行政のヘルプ事業を受託する所が出始めている。委託事業をする理由は、団体ごとにいろいろあると思うが、次のことが考えられる。
●派遣事業者になることで、当事者の視点で、利用者のニーズに沿った派遣ができる。
●自選ヘルパーを、家政婦紹介所などに登録させる煩わしさがなくなり、直接雇用できる。
●受託することで、ヘルプ事業(制度)の見直しや改革につなげていくことができる。
●CILの事業運営や資源を活性化する一助になり、何よりも当事者が担うことで当事者主体に近づくことができる。
 これからヘルプ事業が民間委託されていく流れの中で、それをどう充実し、使いやすいものにしていけるかは、当事者の手にかかっていると考える。委託事業者として、名乗りを上げていくことで、この動きが広がっていくことを期待している。

(のがみはるこ CILくにたち事務局長、社会福祉法人幹福祉会理事長)