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街なか探検隊 Vol.20

神奈川
バリアフリー化が進む横浜中華街

杉山徹

 横浜は昨年(1999)、横浜港開港140周年を祝いました。
 西洋文化の窓口となった横浜には、日本の新しい時代を告げる文明・文化の発祥地としての歴史があります。日本で初めてのアイスクリームやビール、石鹸、西洋瓦、女学校、日刊新聞などの記念碑があちこちにあります。
 こうした歴史の上に、21世紀に向けた新しい街づくりもすすんでいます。新しい観光スポットは、みなとみらい21地区のランドマークビルとクイーンズスクエア、ワールドインポートマートとコスモワールドやジャックモール、そして金沢地区の八景島やアウトレットの並ぶベイサイドマリーナなどです。これらの新しい地区はバリアフリー化がなされています。
 今回の「街なか探険隊」は、横浜といったら「中華街」に焦点をあてて、トラベルフリーの会(障害者と健常者が一緒に交流・旅するサークル)がご案内しましょう。

進むバリアフリー化

 横浜中華街は開港と共に歴史を歩んできました。中国人はアメリカ、イギリス、フランスの商人たちと日本人との通訳として、開港都市・横浜に不可欠な存在でした。港の発展とともに、貿易商などの華僑も増えて居留地ができていったのです。しかし日清戦争(1894)や関東大震災、太平洋戦争をはさんで苦難の道も歩みました。

*「障害者用公衆トイレ」の整備と来客優先の街路計画

 6年前に「中華街発展会協同組合」の理事長になった林兼正氏は新しい中華街づくりに情熱を燃やし、多くの改革を実現してきています。善隣門近くの公園にバリアフリーの公衆トイレ「洗手亭」、中華街パーキングの改築に伴い「障害者用トイレ」をつくりました。以前からある山下町パーキングと加賀町警察署の障害者用トイレを加えると、中華街には四つの障害者用トイレがあります。
 横浜中華街は商店街全体で「街づくり」をすすめています。トイレのことは心配しないで、好きな店で、好きな料理を楽しむことができます。
 ハード面の一部が整備された段階で、商店街の経営者や従業員のために「バリアフリーセミナー」も開催され、トラベルフリーの会も協力しました。そのため、ソフト面でも障害者や高齢者の受け入れサービスがすすんでいます。
 問題は、現在の中華街の道路は段差が高く、道幅も狭いことです。そこに営業車も入り、商品が積まれたりでごちゃごちゃしています。車いすでの移動や視覚障害のある方は神経が疲れてしまいます。
 林理事長たちは、段差の解消、電線の埋設など人間優先の道路整備に向けた計画を検討中です。街ぐるみのバリアフリーをめざす横浜中華街が楽しみです。

横浜中華街のおすすめスポット

1 なんといってもおいしいレストラン

 中華街大通りに面した有名レストランは立派すぎて、敷居が高いと思われがちですが、麺類や一品料理もリーズナブルで、ランチはお得ですので安心して試してください。
 広東料理は、老舗の「萬珍楼」が材料も吟味した品のいい料理です。ランチは1800円からです。飲茶の専門館「萬珍楼点心舗」(昼は1000円~)には障害者用トイレもあります。スタッフ全員が心からもてなしてくれます。
 辛口の本格的な四川料理なら、ホテル ホリデイ・イン横浜の1階にある「重慶飯店新館」で味わえます。ランチは1000円から、ホテルの2階には障害者専用トイレもあり、宿泊して中華街を探索するには最高の立地にあります。
 「同發別館」はいろいろな障害者の団体が利用しているので、受け入れは万全です。団体のコースメニューも豊富で、建物も新しくゆったりして、男女それぞれのトイレに車いす対応の設備がなされています。
 広東料理の老舗「聘珍楼」(ランチ1200円~)にも障害者用トイレが整備されています。香港料理の名門「珠江飯店」は季節感に富んだメニューで点心もあり、飲茶の専門「菜香新館」ともども人気のあるレストランです。海鮮飲茶の「大珍楼本店」(ランチ820円~)、豊富な点心類と飲茶で有名な「均昌閣本館」(ランチ1000円~)など各レストランとも障害者の受け入れに慣れたスタッフがそろっています。少人数で家庭料理や海鮮お粥(700円)を楽しむなら「六鳳居」がおすすめです。

2 買い物をするなら

 食べるだけでなく、買い物も面白いのが中華街の良さです。
 「萬福臨」は中華食材の専門店です。大きな乾燥した「ふかひれ」「なまこ」や「えび」など見るだけでも楽しいです。中国人も大勢買い物に来ています。「永楽製麺所」の中華麺は有名で、生や乾燥した麺を買ってきて、自宅で手作りのおいしい中華そばができます。中華雑貨の「チャイナスター」では、チャイナドレスを借りて写真を撮ることもできます。アジア・中近東のエスニックな雑貨やアクセサリーが所狭しと並ぶ「チャイハネ」も面白いです。豪華な「関帝廟」も見て楽しいですし、この関帝廟通りにある「清風楼」のシュウマイはお土産にもってこいです。
 横浜中華街の各店は、入り口にスロープをつけたり、昨年(1999)11月に「中華街発展会協同組合」は、“横浜中華街オフィシャルガイドブック”(980円)を発行して、消費者へのサービスに努めています。このガイドブックには、それぞれの店の得意料理、専用駐車場の有無、車いすや盲導犬での入店の可否も記載されています。1冊手元に置くとたいへん便利で、記念にもなります。お土産として推薦します。

中華街へのアクセス

 1:鉄道の最寄り駅はJR京浜東北・根岸線「石川町駅北口(エスカレーター有り)」から徒歩7分、「関内駅南口(エスカレーター有り)」から徒歩12分です。
 2:車でなら駐車場は「中華街パーキング」がおすすめです。2階に障害者用スペースが2台分ありますし、1階に障害者用トイレもあります。各レストランと契約があり、2時間無料(食事代金が5千円以上の場合)になる場合もありますので、事前に利用予定のレストランに確認することが大切です。

(すぎやまとおる トラベルフリーの会代表)