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交通機関とタバコ(その2)

横須賀俊司

 私が利用する特急スーパーはくと号には車いす用の座席があるが、喫煙車両にしかないため、その改善をJRに申し入れたことは本誌1月号ですでに記した。今回はその続さを報告したい。
 私が改善を要望したのは1999年9月のことであった。当初は色好い返事がもらえそうにない雰囲気だったが、10月15日にファックスでもらった回答には前向きなことが書いてあった。そこには「(前略)途中での改修は莫大な経費が必要となるのでダイヤ改正時に実施したい」とある。特急スーパーはくと号は途中の区間を智頭急行に委託しているが、そこの営業課長(JRからの出向)からは2000年3月のダイヤ改正時に間に合わせるという話も聞いた。私はすっかり安心して信じ込んでしまった。ギャーギャー言うこともないと思ってそのままにしておいたのが、いけなかった。
 2月に入ってどうなったかなあと思ったので、電話でことの経過を問い合わせてみた。すると3月には間に合わないと言う。その理由を尋ねてみると、禁煙車両を増やしてほしいという要望があるから、健常者の乗客にアンケートを取りたいと言うのだ。禁煙車両に車いす座席を設けることと禁煙席の増加とは関係あるようで関係のない話である。健常者の禁煙席を増やさなくても、車いす座席を禁煙車両に持ってくることはできるのだから。しかもアンケートの結果次第では、車いす座席を禁煙車両に設けられなくなることもあり得ると言う。訳が分からない。私にはJRにやる気がないと感じるだけだった。
 とりあえずアンケートは実施されているのか、結果はどうだったのかを確認してもらうことにした。2、3日後に返事をすると言う。ところが、3週間たった今なお、返事はない。私はあきれ果てて電話をする気も起こらない。1週間ほど前に知り合いの新聞記者から聞いたところ、アンケートは実施していないということだった。10月に前向きな返事をしておきながら、今なおアンケートも取らず、アンケートを取るのに時間がかかって間に合わなかったという理由は果たして成り立つのだろうか。一応、次回のダイヤ改正には間に合わせたいと言っていたが、このような対応をするところにどれだけ信頼が置けるだろうか。
 知り合いの記者は言っていた。「次回のダイヤ改正はいつ実施されるか決まってないそうですよ」と。

(よこすかしゅんじ 鳥取大学教育地域科学部助教授)