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編集後記

 先日、友だち数人と今流行りのスポットに、オープンしたばかりのビルディングのレストランで食事をしようと出かけました。車いすに乗った人が3人と、歩く人が4人という構成でした。
 ミーハーな私たちは、テレビで紹介された夜景のきれいなところで美味しいものを食べたくて、レストラン街を物色して周ったのですが、新しいビルにもかかわらず入り口に階段のあるレストランが多く、困ってしまいました。結局、人数が多かったこともあり、ファミリー向けのレストランに落ち着いたのですが、夜景が見えず、ちょっとがっかりでした。
 エレベーターへの道順も分かりにくかったし、バリアフリーやユニバーサル・デザインの必要性が叫ばれているのに、こんなに使いにくいビルをつくるなんて、と驚きました。障害のある人だけでなく高齢の人たちにとっても、階段は使いにくく危険を伴うものです。もう少し考慮してほしいものです。
 でも、その夜は時間を忘れるくらい会話が弾み、飲み食べ、とても楽しい時間を過ごし、終電ぎりぎりになって帰りました。

(O)


 「すてきなサポーター」では、今月号まで4回にわたって盲ろう者のことを紹介してきました。事例を紹介してくださった東京盲ろう者友の会の渡井秀匡さんとのやり取りの中で、一口に「盲ろう」と言っても盲ベースの人やろうベースの人でコミュニケーションの手段が違うことや障害の状態が人によって異なるので、「これ」と言いきれないことを何度も言われました。
 それを実感したのは、盲ろう者のパソコンとネットワーク利用の研修会の様子を見た時でした。参加者は通訳介助者とそれぞれに合ったコミュニケーションを取っています。触手話の人、指点字の人、その両方の人など、本当に盲ろうの人の数だけ、コミュニケーションの方法が違うことを実感しました。
 「ケアについての一考察」で吉田正行さんが紹介している、盲ろう者向け通訳介助者の養成講座が大都市を中心に始まっています。「盲ろうのイメージは、暗い部屋にポツンと一人だけいる感じですよ」と渡井さんが言っていました。暗い部屋からでるためには、通訳介助者が重要な役割を果たしています。今後はもっと通訳介助者の人数が増えることを期待します。

(K)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2000年5月号(第20巻 通巻226号)