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人生を歩む仲間として共感し合いたい
-グループ「つばさ」の活動-

中野佳子

 アイ愛センター(伊丹市立障害者福祉センター)ロビー内に喫茶コーナーがあり、いろいろな人が集い、お茶を飲みながら、「電車やバスに乗った」「海を見た」「魚を釣った」「おいしいものを食べた」「お土産を買った」等、家族やグループで出かけた体験や楽しかったことをうれしそうに話し、交流とコミュニケーションの場になっています。
 今度は自分も行きたい、こんな経験をしてみたいという皆さんの希望に応えていこうと集まったのがグループ「つばさ」です。手助けがいる人や介添えが必要な人たちが、少しでも多く出かける機会をもち、自ら体験する中で楽しさや感激を味わってもらえるような行事を企画、実行していき、障害者もボランティアも、お互い、二度とない貴重な人生を共に歩む仲間として共感し合いたいと願って活動しています。

グループ「つばさ」の活動紹介

 グループ「つばさ」は、アイ愛センターで開かれた平成7年度研修活動事業で「障害者介助・援助ボランティア入門講座」を受講したメンバーが集い、今後も活動を継続していこうと結成されたボランティアグループです。結成当時は会員は30人でしたが、現在は45人で、高校生から社会人と年齢の幅も広く、多士済々のにぎやかな楽しいグループです。
 アイ愛センター事務局とグループ「つばさ」が合同で、アイ愛センター事業である交流啓発事業の「ヒヨコ探検教室」と「マンボウ教室」の企画から実施までを担当しています。だれもが安心して参加できるよう事前の下見を必ず行い、企画の実施当日はメンバーが障害者の介助や手助けをしています。
 「ヒヨコ探検教室」は、市内在住で肢体に障害のある18歳以上の人を対象に、外出することへの抵抗感や不安を解消するため、車いす等で公共交通機関を利用して、主に京阪神沿線に出かけています。毎回、約20人が参加しています。
 「マンボウ教室」は、市内在住の知的な障害のある人を対象に、陶芸やレクリエーション、ハイキングなどで1日を共に過ごし、社会性を養う機会を設けています。毎回、約40人が参加しています。
 昨年から、グループ「つばさ」のメンバーも勉強会、講習会を受けながら、アイ愛センターの交流啓発事業「すみれ教室」のお手伝いも始めています。「すみれ教室」は精神に疾患をもっている人が、休日をボランティアと交流することで有意義に過ごしてもらい、社会参加の機会を設けることを目的にしています。 
 前記の三つの事業がグループ「つばさ」の主な活動ですが、昨年から、新しい活動に少しずつ挑戦を始めました。
1.グループ「つばさ」独自で「ウイングプラン」を年2回開催し、知的に障害のある人、肢体に障害のある人と一緒に阪神方面に出かけ、体験と交流を図っています。
2.市内の小・中学校、高校での福祉教育指導のお手伝いをしています(昨年は小中高1校ずつの3校でガイドヘルプ、車いすの介助方法の実技指導をしました)。
3.いろいろな障害者団体やグループからの要請に応じてお手伝いをしています。

「なにを感じ、なにを学んだか」が大切

 私たちの活動は年々活動の幅が広がっていますが、障害のある人には障害ゆえに大変なことがまだまだたくさんあります。私たちボランティアは、「どれだけのことをした」というのではなく、活動の中で私たち自身が「なにを感じ、なにを学んだか」ということが大切だと考えています。
 来年は「ボランティア国際年」です。私たちに求められることは、障害のある人の自立への援助と支援はもちろんですが、障害のある人の置かれている不利益な状況を実感し、社会の中で考えていく姿勢と人間性溢れる成熟した福祉社会を描きながら活動していくことも忘れてならないことだと考えています。
 グループ「つばさ」は「できることは助け合い、できないことを支え合う」をモットーに、これからもお互いに心の通う豊かな活動をめざしていきたいと思っています。

(なかのよしこ グループ「つばさ」代表)