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バリアフリースポーツで一緒に汗を流そう

篠原政良

 従来、障害者スポーツは、リハビリテーションの一環と定義づけられていたため、障害者だけのものでした。しかし現在はノーマライゼーションの考えが定着し、バリアフリーの時代という社会現象の中で、スポーツもまた障害者だけから、高齢者を交えた、そして一般の人も交えての種目がさまざまな工夫・改善で生まれ、普及しています。
 そんな状況の中で、私たちは「ローリングバレーボール」というスポーツに魅せられ、社会人チームは、関東地区でも東京、神奈川、埼玉の3都県に広まりました。
 ローリングバレーボールとはどんなスポーツなのでしょうか。このスポーツは1977年に兵庫県で創案され、東京では1987年にチームサンシャインが活動を始め、現在は兵庫、京都、大分の3府県と関東の3都県で定着し、宮城県や新潟県でも活動が始まっています。少しずつ全国的に広がっています。
 ローリングバレーボールは、6人でチームを構成し、床面から30~35センチメートルの空間を保ってセットされたネット下の空間を、バレーボール球を転がして打ち合いラリーを続ける、バレーボールの一種です。
 コートはバレーボール用のコート(9メートル×18メートル)をそのまま使います。そのサイドラインとエンドラインから外側に1メートルの幅でラインを引きます。その1メートル幅のゾーンをリターンゾーンと呼び、2打目から後衛競技者の守備範囲とします。前衛競技者3人は座位で、後衛競技者3人は立位または車いすのままプレーします。
 医師からスポーツを禁じられている障害以外なら、どのような障害でも運動機能障害の重度・軽度にかかわらず参加できます。特に不随意動作のためタイミングがとりにくい重度の脳性マヒの人たちがチームの一員として十分プレイできるため、今まで障害者のチームスポーツに加わることが困難だった脳性マヒ系の重度障害者が活躍できるスポーツとして注目をあびています。
 このスポーツでは、健常者も2人までコートに入ることができ、障害、年齢、男女の性別も関係なく参加できることから、創案された当時は画期的なスポーツとして取り上げられ、今はノーマライゼーションスポーツ、バリアフリースポーツと言えます。
 現在ではボッチャなどさまざまな種目が、レクリエーションレベルの大会ではあらゆる人が参加できるようにオープンクラスとして公開されています。身体障害者のスポーツから、バリアフリー、ノーマライゼーションの現代を反映して、健常者や高齢者も交えたみんなが楽しめるスポーツとして改良されている種目が増えてきました。
 ボランティアとしても、何も構えることなく、ゲームや競技を通じて障害者と同じラインに立ち、一緒にプレーをしながら、互いに認識し合い、それぞれの視点の違いを知っていくことで、相手の欲するサポートが自然にできていくこころが養われていくと思います。そういう効果が、こうしたノーマライゼーションスポーツを通して、大いに発揮されるものと思います。
 気軽な動機でスポーツに参加し、その中に入ると自然体で活動でき、障害者とボランティアの関係を越えた、一番大切な友情から入っていくことができる、また必要とするサポートができる雰囲気や気配りが熟成されていくこと、それが一番大切なボランティアのこころと私は思っています。
 また、より専門的なボランティア志向の方は「障害者スポーツ指導員」の資格を取得して、リーダーとして地域の障害者スポーツの振興に寄与することも立派なボランティア活動です。
 重度の運動機能障害者が健常者に勝つことのできるローリングバレーボールだからこそ、ノーマライゼーションスポーツとして広くすすめていきたいと思っています。

(しのはらまさよし 東京都ローリングバレーボール連盟)