音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

編集後記

 最近続けて、2回ほど建物のアクセスについて考えさせられることがありました。
 一度目は今、注目のスポットであるお台場に最近できたホテルに泊まった時のことです。そのホテルには障害者用の部屋がありましたが、私は普通のシングルの部屋に泊まりました。この世界に生きる者の習性で部屋に入るとすぐにバスルームなどのアクセス・チェックをするのですが、その部屋は日本のホテルにしては珍しくバスルームとの段差がなく、「オッ、いいぞ」と思ったのですが、残念ながら車いす用には間口の幅がほんの少し足りないようでした。
 もうひとつは、東京駅に隣接するデパートの地下をぶらついていた時のことです。何かおいしそうな物はないかとキョロキョロしながら歩いていたら、その階のある部分だけ低く2~3段の階段があって、危うくこけそうになりました。手すりもなく、もちろんスロープにもなっていません。「車いす利用者や階段を降りられない人は、この売り場にくるな」ということかと、少々腹立たしくなりました。「ほんの少し、もう少し考えてくれたら、だれもが使いやすい施設になるのに……」と思いました。

(O)

 「あなたは将来何になりたいですか、と聞かれても、どんな職業があって、何をするのか、という情報がなければ、本人も何になりたいか、わかりませんよね」。これは特集の座談会「夢の実現」を進めているときに指摘されたことです。
 今回は夢の実現をしたケースを中心にお話しいただきました。本人がこうなりたいという気持ちをもって、本人を支える就労システムがあれば、夢を実現させることだってできるよ、と熱気のある座談会となりました。
 障害のある人の就労は、現実にはとても厳しいものがあり、座談会で紹介した夢を実現させた人は、ほんの一握りの人かもしれません。でも、夢は実現できるよ、支援者も関係者も夢をもつことの大切さを教えていただきました。
 最近は、支援者と受け入れる企業の意識が変化してきているということです。この流れにもっともっと勢いがつくことを期待したいと思います。

(K)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2000年9月号(第20巻 通巻230号)