音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

体験 ベンチレーターは人生のパートナー
地域職業リハビリテーションシステムの
確立への提言

佐藤きみよ

 十年前はベンチレーター(人工呼吸器)と言えば、病院の中にあり重症の障害(意識不明など)をもつ人が付けるものとされてきました。
 しかしここ数年、ベンチレーターを付けていても地域で暮らし、自立生活をする障害者が増えてきています。
 私は十二歳の時からベンチレーターを使用しています。もう二十六年間気管切開をしベンチレーターを使用している私にとって、ベンチレーターは大切な人生のパートナーです。
 ひと昔前までは、電動車いすに乗るよりは自分の手でこぐ手動の車いすのほうが、リハビリになり良いとされてきました。でも、手動の車いすを自分の手でこぐより電動車いすを使うことで行動範囲も広がり、体力を消耗しなくてもいろいろな所へ出かけて行くことができるようになるということに多くの人が気付きました。
 ベンチレーターもそれと同じように、ベンチレーターを付けることで呼吸が楽になり、食事もたくさん食べられるようになり、風邪もひかなくなります。私はこのような医療機器をマイナスにとらえるのではなく、積極的に自分の生活に取り入れていきたいといつも思っています。
 呼吸器を付けることにまだまだ抵抗を感じるという人がたくさんいると聞きます。でも、ベンチレーターを付けていても決して機械につながれるだけの日々にはなりません。
ベンチレーターを付けて私は、レストランに美術館、映画館に旅行と、自分の人生を心からエンジョイしています。
 ベンチレーターは、メガネや車いすと同じ私たち障害者の大切な日常生活の道具なのです。

(さとうきみよ ベンチレーター使用者ネットワーク代表)