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新たなパートナーシップの構築

レックス・フリーデン
国際リハビリテーション協会(RI)会長

 新たな世紀を迎え、国際リハビリテーション協会(RI)は世界の障害者をめぐるさまざまな問題を解決するため、次のような課題に取り組んでいく所存です。
 第1に、さまざまな障害者団体、人権団体と連携をとりながら、施行メカニズムやモニタリングシステムにしっかりと裏打ちされた障害者の権利に関する国連条約の採択に向けて、全力を尽くします。既存の条約に障害関連条項が盛り込まれるよう修正を求めていくことももちろん重要です。しかし、複数の条約を参照しながら障害者問題の全体像を把握することは困難であり、また、施行状況や知名度が十分でないものもあります。したがって、障害者の権利に焦点を絞った独立別個の条約をつくることはきわめて意義があります。このような条約があればキャンペーンの展開も容易になり、障害者の権利について多くの人々に知識・情報を提供し、理解を深めてもらうことができるでしょう。
 第2の課題は、RI加盟団体の中で、途上国・貧困国の代表を増やすことです。現在、RIは会費収入に支えられていますが、これらの国の団体は財政的理由から、代表を送るべきでありながらもそれができない状況にあります。今後は会費制度の見直し、助成金の模索などの方法によって改革を図り、途上国・貧困国のもつ英知や卓見をRIに活かしていきたいと思います。
 第3の課題として、RIという組織の中で、障害者のエンパワメントを推進したいと願っています。RIはその歴史的経緯から、障害者のための団体で構成されています。これは私見ですが、私たちは、障害者による団体もバランスよく組み入れることにより、国際的な発言力や説得力を高めることができます。RIも支援団体や政府団体を補完する形で障害者による団体の参加を促し、障害者に関する政策議論の場として機能する必要があります。
 さらに、RIは障害者の研修所の役割を担いたいと考えています。私たち障害者は、会場のアクセシビリティ、手話通訳者の有無といった物理的・社会的制約から、いろいろな団体や集まりに参加する機会が十分にあるとは言えません。その結果、健常者と比較すると組織の中でリーダーシップを培う機会が少ないのが現状です。今後は各種委員会の長などさまざまな場面で、意欲ある障害者が活躍できる機会をつくっていきます。
 このように、障害者のエンパワメントは重要なテーマですが、それは決して健常者を排除するものではありません。障害分野に造詣の深い人材は、障害の有無にかかわらず登用し、パートナーシップの構築をめざしていきたいと考えています。