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1000字提言

資格は利用者のもの

篠崎薫

 こんにちは。社会福祉士の篠崎です。
 さて、皆さんは福祉の仕事にかかわる資格について、どんな思いを持っていますか?
 「福祉は心だ」なんて言う人は少ないでしょう(たぶん)。ぼくは、福祉は「人」だと思っています。だから、その人がどんな人なのか、ある程度外から見える物差しのようなものとして、「資格」に一定の意味があるとは思っています。
 これからは利用者が福祉サービスを選ぶ時代なんだとアチコチで言われていて、そんなこと当たり前だろうと思いつつも、じゃあ選ぶ目安は何なんだと見渡すと、その一つに資格があるのかなあ、なんて思うわけです。
 でも、「資格って絶対じゃないな」と思います。資格はテストに合格することによって得られる場合が多く、ふつうテストでは人格までは分かりません。テストで分かるのは、その仕事に必要な知識と技術があるかどうか、それも最低限のレベルです。ちなみに社会福祉士の場合は、受験資格に実務経験や現場実習が求められますが、最終的にはペーパーテストで合否が決まります。
 福祉の仕事は人と人とのかかわりの中で行われるので、どうしても相性のような要因が入ってきます。だから、実際の場面では、単に資格があればいいってもんじゃないですよね。
 社会福祉士は相談援助の資格ですが、福祉の相談援助を行うのに、この資格がなければイカンというものではありません。だれがやってもいいのです。でも、だれに相談しようかと悩んだとき、相談する人を選ぶ目安として社会福祉士という資格があってもいいかな、とは思います。
 ぼくは、社会福祉士が特定の業務を独占していなくてよかったと思っています。それは、業務を独占している資格はどうしてもゴーマンになりがちな気がするからです。資格は利用者が選ぶ目安としてあり、そこに徹するべきで、だれを選ぶかは利用者の自由。ぼくはそんなふうに思います。
 21世紀です。もう独占なんてやめようじゃありませんか。

(しのざきかおる 日本社会福祉士会)