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イベント

2000シドニー・パラリンピック
史上最多の123か国・地域が参加

若菜常信

はじめに

 2000シドニー・パラリンピック競技大会は、史上最多の123か国・地域から選手4032人が参加し、オーストラリアシドニー市オリンピックパークを中心に18競技が行われ、熱戦がくり広げられました。
 日本は、選手151人、役員スタッフ89人、総数240人の選手団を派遣しました。シドニーは天候不順で晴れの日と雨や曇りの日が交互に繰り返し、寒暖の差が大きい天候でした。そのため、選手の健康管理は大変だったと思われます。
 18日に開会式が行われ、19日から競技が開始され29日のマラソンを最後に競技を終了し、その後の閉会式をもって全日程が終了しました。
 日本は、金メダル13個、銀メダル17個、銅メダル11個、合計41個のメダルを獲得しました。

競技

 以下、日を追って競技の様子を紹介します。
 

10月19日

 車椅子バスケットボール男子、卓球、射撃、柔道の競技が始まり、柔道66kg級で藤本聰選手(徳島県)が幸先のよい日本選手第1号の金メダルを獲得、藤本選手はアトランタに続いて2連勝。

10月20日

 水泳SM4クラス女子150m個人メドレーで成田真由美選手(川崎市)が世界新記録で優勝。陸上T34クラス100mで前場一也選手(山梨県)が銅メダル。

10月21日

 水泳SM11クラス200m個人メドレーで河合純一選手(静岡県)が銀メダル。陸上T52クラス女子800mで田中照代選手(名古屋市)が銀メダル。柔道90kg級で稲葉統也選手(静岡県)が銅メダル。100kg級で松本義和選手(大阪市)が苦戦しながらも銅メダル。100kg超級で宮内栄司選手(徳島県)が銅メダル。

10月22日

 陸上T34クラス女子100mで荒井のり子選手(千葉県)が金メダル。自転車タンデムスプリントで葭原滋男選手(東京都)水澤耕一選手(福島県)のペアが銀メダル。陸上T34クラス200mで前場一也選手(山梨県)が銀メダル。

10月23日

 自転車タンデムタイムトライアルで葭原滋男選手(東京都)水澤耕一選手(福島県)のペアが金メダル。水泳S4クラス女子200m自由形で成田真由美選手が金メダル。陸上T53クラス800mで廣道純選手(大分県)が銀メダル。F20クラス女子走高跳で酒井かづみ選手(群馬県)が銀メダル。T52クラス女子200mで要田美紀選手(東京都)が銅メダル。

10月24日

 水泳女子200mリレー(20P)で奈良恵理加(群馬県)、加藤作子(兵庫県)、藤田多佳子(兵庫県)、成田真由美の4選手組が世界新記録で優勝し金メダル。S12クラス100m自由形で酒井善和選手(兵庫県)が銀メダル。SB3クラス女子50m平泳ぎで成田真由美選手が銀メダル。S11クラス100m自由形で河合純一選手が銀メダル。陸上T52クラス女子1500mで田中照代選手が銀メダル。

10月25日

 水泳S4クラス女子50m背泳ぎで成田真由美選手が金メダル。陸上T34クラス女子200mで荒井のり子選手が銀メダル。F31/51クラスこん棒投で安陵武文選手(大阪府)が銀メダル。アーチェリー女子団体戦で米澤昌子選手(札幌市)、鈴木一二美選手(奈良県)、松岡ひとみ選手(愛知県)組が銅メダル。

10月26日

 陸上T34クラス400mで前場一也選手が金メダル。水泳S4クラス女子100m自由形で成田真由美選手が金メダル。S12クラス100mバタフライで酒井善和選手が銅メダル。車椅子バスケットボール女子チームが3位決定戦でオランダに勝ち、初の銅メダルを獲得。

10月27日

 水泳S12クラス100m背泳ぎで酒井善和選手が金メダル。S4クラス女子50m自由形で成田真由美選手が世界新記録で六つ目の金メダル。陸上F11槍投で尾崎峰穂選手(東京都)が銅メダル。

10月28日

 水泳S11クラス50m自由形で河合純一選手が金メダル。陸上では、男子視覚障害400mリレーで銀メダル。T52クラス女子400mで要田美紀選手(東京都)が銅メダル。

10月29日

 最終日、陸上はマラソンで女子T53/54クラスで畑中和選手(神戸市)がトップと同タイムで惜しくも銀メダル。同クラスで土田和歌子選手(東京都)が銅メダル。
 夜、閉会式ですべての日程が終了しました。シドニーの組織委員会は、オリンピックに遜色のない大会運営であったことを報告します。

まとめ

 12日間にわたる2000シドニー・パラリンピックを振り返ってみて、全体的には、期待した結果が出なかったと言えるでしょう。アトランタでの金メダル獲得者がシドニーでは金に届かなかった例が多くあり、トップクラスの後退が目立ちました。
 成田真由美選手(川崎市)の金6個、銀1個は驚異的な成績でした。水泳、陸上競技で新人・若手の台頭も見受けられ、4年後に期待が持てます。水泳、陸上競技のリレーの入賞は評価されます。特に、車椅子バスケットボール女子チームが3位に入賞したことは、団体競技の入賞の困難度から快挙であると言えます。
 アーチェリー、卓球、柔道は成績の後退が見られます。競技の普及のため、出場権を獲得した競技は、派遣することにしましたが、射撃、パワーリフティング、フェンシング、馬術、セーリング、シッテングバレーボールについては、世界とのレベル差が大きいことがわかりました。また、知的障害については、今回陸上競技、バスケットボール、卓球に参加しましたが、酒井かづみ選手(群馬県)の銀メダル以外は振るわず、バスケットボールや卓球はかなりの差があることを知らされました。しかし、個々の選手はそれぞれの競技のなかで最高の試合をし、頑張ってくれました。満足して帰国したことと思います。
 選手の皆さん、おつかれさまでした。

(わかなつねのぶ 財団法人日本障害者スポーツ協会日本パラリンピック委員会事務局長)