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最終年大阪フォーラムに向けて

丸山一郎

推進キャンペーン会議とRNN

 国連エスキャップ「アジア太平洋障害者の十年」は終盤に入り、2年を残すのみとなりました。明2002年は最終年です。この「十年」は日本から提案したものですが、国際障害者年(1981年)や「国連・障害者の十年(1983年~1992年)」に比べて、この時点でも日本国民への周知度はとても低く、関係者ですら良く知らないのではないでしょうか。ましてアジア太平洋全域では、話題になることも少ないかも知れません。

 その中にあって、この大切な地域の国際協調の十年を広く知らせ、十年の目標(「完全参加と平等」の実現に向けての12の行動課題)の理解を推進するために、NGO(非政府組織)が毎年各国で開催してきたのが〈アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議(RNN)〉の推進キャンペーンと進捗状況を評価するための会議です。
 RNNは、この「十年」の提案母体となった日本の『新・障害者の十年推進会議』(日本身体障害者団体連合会、日本障害者協議会、全国社会福祉協議会、日本障害者リハビリテーション協会の4団体で構成)が十年の幕開けの年(1993年)に沖縄県の関係者と協力してはじめての推進キャンペーンを浦添市で開催した際に、各国の代表者と結成したネットワークです。
 現在16か国の国内の障害者団体や関係団体のネットワークと8の国際NGO(WFD、WBU、DPI、II、RIの地域支部など)が加盟しています。RNNの代表はキャンペーン会議を実施する国の障害者団体の代表が交代で務めることにしました。

これまでのキャンペーン

 「十年」当初から昨年までの毎年のキャンペーンの開催地とテーマ、参加国、海外からの参加人数(特に障害のある人々の参加)そして、RNNの代表は以下のとおりです。

●93:沖縄(日本)

 「障害者の社会参加を進める沖縄会議」16か国・309人(障害のある人200)。

●94:マニラ(フィリピン)

 「地域協力と社会啓発」10か国・300人(障害のある人160、日本98人)。N・ズニガ代表

●95:ジャカルタ(インドネシア)

 「全ての人への支援の実現」41か国500人(障害のある人200、日本101人)。RI(地域リハビリテーション会議)と共催。F・ハルサノ代表

●96:オークランド(ニュージーランド)

 「参加:平等へのステップ」88か国・1400人(障害のある人400、日本166人)。RI(世界会議)と共催。A・ホーカー代表

●97:ソウル(韓国)

 「アジア太平洋障害者の十年:後半5年の成功に向けて」
 45か国1000人(障害のある人260、日本324人)。国連エスキャップ「十年評価会議」も同時開催。L・ソン代表

●98:香港(中国)

 「二つの世界―地域の課題の地域的解決、地球的課題の地域での解決」36か国1621人(障害のある人350、日本165人)。M・リー代表

●99:クアランプール(マレーシア)

 「工業化社会への障害者の参加促進」16か国260人(障害のある人200、日本139人)。G・ウーイ代表

●00:バンコク(タイ)

 「なくそう社会の障壁(バリア)」30か国505人(障害のある人300、日本162人)。P・ナロン代表

 これまでのキャンペーンに、年々日本以外の海外から障害のある人々の参加が増加しています。

タイ・キャンペーン

 8回目のバンコク会議は、12月12日からの3日間、国連エスキャップの本部のある国連センタービルを会場に全体会・分科会・展示・施設見学が行われました。全体会では、アジアでの障害者対策を進めることに関する日本の八代前郵政大臣や中国障害者連合のデンプーファン会長の基調講演や各国のバリアフリーへの改善状況が示されました。分科会では十年の行動課題の評価をめぐっての討論がなされたが、特に障害女性の活発な討論が目をひき、障害別の交流会も盲、ろう、知的障害のある人たちなどとても活発でした。また、精神障害の当事者の参加も目立ったことです。最終日には会議の決議がなされ、各団体・各国・国連へのアピールとして採択されました(このことについては次号で紹介します)。

今年はベトナム、最終年は大阪

 今年9回目のキャンペーンは、長い戦乱を経験したベトナムで12月12日からハノイを中心に開催されます。また、最終年はキャンペーンのスタート地日本に戻り、2002年10月に大阪で開催予定です。RNNは最終年に向かって「アジア太平洋障害者の十年」の成果は、どのようにあったのか、そして「十年」後は何を目標にして関係者は協力を進めるのか、さらに、そのためにどのような手段を考え準備するのか等に取り組んでいます。大阪フォーラムは、十年のまとめと新たな出発に向けた大切なイベントとなりましょう。皆様のご参加とご協力をお願いします。

(まるやまいちろう RNN事務局長)