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障害者欠格条項の見直しに向けた課題

金政玉

 現在、障害者に係る欠格条項の見直しに向けた対処方針1.欠格、制限等の対象の厳密な規定への改正、2.絶対的欠格から相対的欠格への改正、3.障害者を表す規定から障害者を特定しない規定への改正、4.資格・免許等の回復規定の明確化(1999年8月障害者施策推進本部決定、以下、対処方針とする)に基づき、関係省庁において各種免許や資格に定められている欠格条項の見直しに関する検討が行われている。
 昨年(2000年)6月時点で公表された各省庁の検討結果の「中間まとめ」において、60制度中35制度については、本年3月中に見直し予定になっている。
 その後、最も注目を集めていた医療職と運転免許の見直しの方向が公表された。医療職に関しては、1.障害を特定した欠格条項を廃止する、2.新たに「心身の故障のために業務に支障があると認められる者」等の規定を設ける、3.補助的な手段を取り入れるという方向が打ち出された。運転免許では、てんかん、精神分裂病等に該当する場合を除き現行の運転免許試験に合格すれば、すべて免許を与えることにしている。
 対処方針1.~4.)との関係でみた場合、少なくとも門前払いをするかどうかの入口部分において、医療職では2.、3.に沿った見直しの方向が打ち出されたが、一方で運転免許では、2.に沿った検討が行われながらも、「てんかん、精神分裂病等」の障害名・病名を特定して、原則的に試験に合格しても免許を与えない(絶対的欠格事由)とする、非常に後退した見直しの結果になっている。こうした状況をみると、2002年度中の見直し終了期限までに、関係省庁の見直しがどのように行われるのか、予断を許すことができない。
 欠格条項の抜本的見直しにあたっては、第1に絶対的欠格から相対的欠格に改める場合には、本人が必要な補助的手段を最大限導入したうえで新しい基準づくりを策定すること、第2に補助的手段の導入の際には、公的責務を明記しその必要経費の相当部分を公費で支援すること、第3に免許・資格試験において、障害が理由で不利益処分(不合格)を受けたと本人が疑義を持つ場合に、異議申立てができる手続き規定を整備すること等を包括的に規定する法制化が必要になっていると言える。
 差別法令である欠格条項の廃止を求めていくことを通じて、2002年以降の障害を理由とする差別の禁止を法制度に盛り込んでいくための取り組みが発展していくことを願っている。

(きむぢょんおく DPI障害者権利擁護センター、障害者欠格条項をなくす会事務局次長)