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広島
アイネットひろしまの発足
─視覚障害者の列島縦断ネットワークをめざして─

平元一

アイネットひろしまの結成

 日本の視覚障害者は35万人と言われています。視覚障害者にとって大きな困難の一つに行動の不自由、もう一つは視覚からの情報収集の不自由さがあげられます。
 2001年は「ボランティア国際年」で、ボランティアネットワークを広げる決議がなされています。この新たな世紀を迎える記念すべき年にボランティアネットワーク「アイネットひろしま」を設立できたことをうれしく、感謝しています。
 アイネットひろしまは、昨年の広島県ボランティア活動推進会議の全体会で呼びかけられ、今年の5月に「広島視覚障害者生活支援ボランティアネットワーク」(愛称・アイネットひろしま)として設立しました。ボランティア相互の情報交換や研修会、視覚障害者の多様化するニーズを多角的に話し合い、さらに多くのアイデアを出して、共存共生していくことをめざしています。

活動目的と活動内容

 視覚障害者の生活支援を考えるうえで、ガイドヘルプサービスなど公的サービスを充実させていくことはもちろん大切なことですが、同時に公的なサービスになじまない、きめ細かな生活ニーズの対応についてはボランティアが重要な役割を果たしていくことが必要です。そこで、アイネットひろしまでは、つぎのような活動を目的にしています。

(1) ライブラリー化による情報の共有

 県内の視覚障害者関係のボランティアグループは、現在音訳グループ、点訳グループ、外出手引きグループ、インターネット接続サポートグループがあります。それぞれの分野ではかなり深く、専門的に活動しているグループもあり、活動場面も多岐にわたっています。グループごとにさまざまな図書、広報誌、公共施設等のパンフレットの音訳、点訳を行い、数多くの成果を積み上げてきていますが、今まで積み上げられてきた成果物はそれぞれのグループ内で眠っているのが現状です。その成果物で、県内で活用できるものをこのネットワークにのせてぜひ活用していきたいと思います。

(2) 移動、外出等の支援

 外出等の生活支援についても移動が複数の市町村間にまたがる場合、公的なサービスを活用するだけでは対応しきれない事例も数多くあります。その場合、外出の手引きをはじめとして、県内の視覚障害者のボランティアグループが、緩やかな連携をもつことで外出ニーズへの広域的な支援体制づくりをめざしています。

(3) インターネットのサポート

 IT社会の急速な進展に伴い、自治体においても各種技術講習会を行っていますが、視覚障害者を取り巻く状況もそれに乗り遅れることなく、インターネット接続サポートを含めたボランティア体制の充実に取り組んでいきたいと考えています。

(4) バリアフリーの推進

 障害者の「完全参加と平等」の実現のためにも地域で自立して積極的に社会参加できる環境を整備することが大切です。視覚障害者が安心して単独歩行するうえでの道路や駅構内、プラットホームの点検。さらに公共の建物に敷設してある点字ブロックの点検も地域の理解と協力を得ながら行い、バリアフリーの推進に努めていきたいと思います。

(5) 緊急災害時のサポート体制

 地震や火災など緊急災害時の対応は、十分とは言えない現状のなか、地域の方々との日常的な関係、地域住民としての横のつながりを重視して暮らすことが大切と心がけて生活していくことへのサポートも支援していきたいと考えています。

今後の展望

 アイネットひろしまは設立まもないため、本格的な活動はこれからですが、県内の視覚障害者の生活支援をキーワードに、視覚障害者のニーズを吸い上げ、ボランティアの手で今まで以上のサービスができるのかをお互いに情報交換し、緩やかなつながりの中で共に考え行動していくつもりです。
 またボランティア相互の共通研修や分野別研修による技術向上等に取り組みながら、最終的には視覚障害者に関係する全国のグループに呼びかけ、情報交換と連携の場づくりとして、日本列島を縦断する生活支援のネットワークを構築したいと考えています。

(ひらもとはじめ 広島虹の会代表)