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フォーラム2001

支援費制度の概要について

厚生労働省障害保健福祉部支援費制度施行準備室

1 支援費制度の目指すもの

 平成12年6月に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が成立し、社会福祉事業や措置制度等の社会福祉の共通基盤制度について、今後増大・多様化が見込まれる国民の福祉ニーズに対応するための見直しが行われました。
 この社会福祉基礎構造改革の1つとして、障害者福祉サービスについては、利用者の立場に立った制度を構築するため、これまでの行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から、新たな利用の仕組み(「支援費制度」)に平成15年度より移行することとなりました。
 支援費制度においては、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として、事業者との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みとしたところです。
 これによって、事業者は、行政からの受託者としてサービスを提供していたものから、サービス提供の主体として、利用者の選択に十分応えることができるようサービスの質の向上を図ることが求められることとなります。 
 国としては、この支援費制度の施行に向け、現在準備を進めているところであり、去る8月23日に、支援費制度担当課長会議を開催し、支援費制度の事務大要をお示ししました。
 この事務大要は、平成15年度より施行される支援費制度について、地方公共団体等における準備を円滑に進めるため、現段階で考えられる事項について整理し、公表することにより、支援費制度への円滑な移行に資するためのものです。
 その内容は、市町村および都道府県が行う事務の流れや支援費の支給決定に関し必要となる事項、事業者・施設の指定基準の考え方について説明したものであり、また、支援費基準と利用者負担については、その基本的な考え方と設定に当たっての主な論点についてまとめたものとなっています。

2 支援費制度の対象となるサービス【表1】

 なお、これらのサービスを提供する事業者・施設は、あらかじめ都道府県(指定都市、中核市を含む)知事等の指定を受ける必要があります。

【表1】

  身体障害者福祉法 知的障害者福祉法 児童福祉法
(障害児関係のみ)
支援費制度の対象サービス ・身体障害者更生施設
・身体障害者療護施設
・身体障害者授産施設
 (政令で定める施設に限る。)
・身体障害者居宅介護等事業
・身体障害者デイサービス事業
・身体障害者短期入所事業
・知的障害者更生施設
・知的障害者授産施設
 (政令で定める施設に限る。)
・知的障害者通勤寮
・心身障害者福祉協会が設置する福祉施設
・知的障害者居宅介護等事業
・知的障害者デイサービス事業
・知的障害者短期入所事業
・知的障害者地域生活援助事業
 (グループホーム)
・児童居宅介護等事業
・児童デイサービス事業
・児童短期入所事業

3 支援費制度の基本的な流れ

 サービスの利用を希望する者は、必要に応じて市町村の窓口や市町村障害者生活支援事業を行う事業者等、各種の相談機関等で相談支援や情報提供を受けつつ、必要なサービスを特定したうえで、支給の申請を行います。市町村は、利用者の求めに応じ、居宅支援や施設の利用についてあっせんまたは調整を行うとともに、事業者等に対して利用の要請を行うこととなっています。
 市町村は、この申請について支給決定を行う場合、必要な事項を勘案し、支援の種類ごとに支給の要否を決定するとともに、施設訓練等支援については、支給期間、障害程度区分および利用者負担を、居宅生活支援については、支給量、支給期間および利用者負担を決定し、受給者証を交付します。
 施設訓練等支援の際に定められる障害程度区分は、重度の障害者に対する支援が適切に行われるよう定められるものであり、身体障害者手帳等に記載されている障害の状況のみでなく、施設支援を受ける際の障害の状況に基づいて生じる援助の必要性と援助の困難性を考慮して区分すべきものと考えています。
 また、支給期間については、市町村が障害者の状況を的確に把握し、現在提供されているサービスの適合性を確認するとともに、障害程度区分または支給量が適切かどうかを確認し、必要に応じて見直しをするため、厚生労働省令で定める期間を超えない範囲で市町村が定めるものです。この支給期間の終了に際しては、改めて支援費の支給決定を受けることにより、継続してサービスを受けることが可能となります。
 支給決定を受けた障害者は、自ら選択した指定事業者・指定施設との間で、直接サービス利用に関して契約を結び、サービスを利用します。
 サービスを利用した障害者は、負担能力に応じて定められた利用者負担額を事業者に対して支払います。また、一定範囲の扶養義務者についても負担能力に応じて定められた額を事業者に対して支払います。
 また、サービスを提供した事業者・施設は、市町村に対し支援費(利用者負担額を除いた額)の請求を行い、市町村における審査を経て支援費が支払われます。
 以上が支援費制度における基本的な一連の流れとなります。

4 制度施行までの日程

 支援費制度の施行は平成15年4月からになりますが、制度が円滑に施行されるために、今年度から来年度にかけてさまざまな準備を行うこととなります。
 支援費制度の場合、都道府県知事等の指定を受けた事業者や施設からサービスの提供を受けた場合に支援費支給の対象となることから、その指定に関する基準を定める必要があります。
 また、前述の通り、支給決定のための勘案すべき事項を省令で定めるほか、障害程度区分や受給者証に関する事項など支給決定に係る手続きや事業者の指定等に関する政令や省令を定めることとされており、これらは平成13年度末に公布できるよう、現在検討を進めているところです。
 その政令や省令に基づき、平成14年度の10月以降、具体的な支給申請の手続きを開始することとなり、平成15年の4月より支援費制度によるサービスの利用が始められます。