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あたりまえの生活をするために
―当事者の会「エール」からの意見―

坂田博子

 当事者の会「エール」は、障害基礎年金が受給できないと言われていた企業就労を果たす軽度の知的障害者が集まり、その権利を獲得しようと、自ら区役所や精神科などを訪ね、障害基礎年金を申請、獲得していったグループです。
 現在では、メンバー全員が一般就労で得る10~12万円の給料と障害基礎年金2級で、地域での自立生活を獲得しています。
 そんなメンバーに、給料、年金などついて今、感じていることを聞いてみました。

―会社の給料についてどう思っていますか?
「会社での自分の立場は弱い。仕事の出来高を考えると仕方ないと思うけれども、一生懸命働いているのに、月10万円以下の友達もいるし、自分の給料も高いとはいえない。これでいいのかと思うことがある」
「知的障害者の給料は圧倒的に時給制、パートの人が多い。月給制ならもう少し安心して地域で生活できると思う」

―障害基礎年金についてどう思いますか?
「2か月に1回の年金受給では、(自分で金銭管理が難しい知的障害者にとっては)わかりにくい。毎月、給料のように定期的に受給できるとありがたい」
「自分たちも苦労したけど、年金申請の仕方は、とてもわかりにくい。年金申請がもっとわかりやすければ、障害基礎年金をもらって自立しようと思う人も増えると思う」

―給料と年金をもらい、地域で生活して、生活を楽しむことができていますか?
「お金の使い方の援助が必要。金銭管理はしてもらっているけど、本当に自分のお金でやっていけているのか不安。もっとお金を使って、楽しめればいいと思う」
「お金を使って上手に遊ぶ方法を教えてほしい。お金がたくさんあればいいというわけではない。これは、個人的な問題ではなく、みんなの問題。最近、ガイドヘルパーを利用して、一緒に買い物や遊びに出かけるようになって、楽しみが広がった。こういう援助がいると思う」

 メンバーは、年金を受給し確実に地域で暮らしている実感をもっています。しかし、地域自立生活を続けるなかで、ただ単にお金を得て暮らすのではなく、自分らしく楽しく暮らすことに意味があることを、強く感じているように思います。現在、そうした支援が少ないなか、「生活を楽しむ」支援が求められているようです。

(さかたひろこ 生活支援センター「エール」の会援助者)