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列島縦断ネットワーキング

鳥取
福祉フォーラム2

「げんきとっとり 町にくらしをきずきたい」開催

渡部恵子

 社会福祉制度が大きく見直される最中、地域の福祉力、響きあえる関係のネットワーク、地域福祉へのスピードアップ・ステップアップを目的に、(社)日本てんかん協会鳥取県支部事務局を中心に、さまざまな立場で実行委員会を組織し、昨年“なみのりフォーラム”として二つの福祉フォーラムを実施しました。フォーラム1は昨年の9月、「21世紀の障害者福祉、医療を展望する」と題して全日本手をつなぐ育成会の松友了氏を講師に、地域に密着した立場のパネラーにより、やさしい町づくりをサブテーマーに実施したところ、予想以上の参加者と高い成果に勢いづき、昨年末、12月1、2日(土・日)、フォーラム2として、鳥取県西部、中国山地最高峰大山山麓、日本海に臨む町、米子市において「げんきとっとり 町にくらしをきずきたい」をテーマに、鳥取県内、近畿、四国、中国の各県より、障害の枠を超えた当事者と福祉関係者、市民も巻き込むこれまでにない幅広い分野からの関係者250人以上が集い、地域福祉に熱く湧いた2日間の福祉フォーラムレポートです。

遅れを招いた環境へのスピーディーなチェンジを

 初日トップは、厚生労働省障害保健福祉部企画課専門官の大塚晃氏による「社会福祉基礎構造改革が求めている障害福祉」と題し、国の求める障害者福祉の基本理念「ノーマライゼーション」「自己決定」を軸として、人権や市民権を考えさせる率直なお話に、会場は聞き入りました。知的障害者福祉法が変わり「自立支援」と「社会経済活動への参加」を裏付けるオープニングにふさわしい基調講演でした。熱気は次のシンポジウムにリレーされ、「地域で暮らしていくには何を変え何を創っていくのか」と題して、先駆的な取り組みをされている講師を県外から招き、具体的な支援のお話をうかがいました。長野県の障害者生活支援センターの福岡寿氏からは「サービスに徹する支援センター、一歩進めるための胸の据えどころ」等、大阪箕面市の障害者雇用支援センターの栗原久氏からは「就労支援への情熱と根気、本人、企業、地域、3者の就労支援のあり方」を、鳥取県の立場として医師の大谷恭一氏が片山知事の福祉県への意欲的な姿勢と、当事者のニーズから県独自施策等、いずれも夢のある元気のでるお話にフロアーも集中していました。助言者の大塚専門官は「一人のヒーローの時代から、行政も地域も当事者、関係者みんなが関わり創っていく時代に、情熱をもって」と、締めくくりました。

取り残されているさまざまな人権へスポットを

 そして、2日目は、パネルディスカッション「本人、家族が求めていること」と題して、精神、知的、身体の各当事者と母親の立場を交え、「自立、社会参加への暮らしづらさ、望むこと」等、積極的な発言にて進行しました。「施設を出たい」「結婚したい」「一生、障害者で終わってしまうのか」助言者の福岡さんからは、地域生活を支えるケアマネジメントの機動の重要性を指摘され、すべての根底にはノーマライゼーション理念がありました。
 ファイナル記念講演として「コミュニティーの中に医療ケアネットワークを、どうきづくのか」と題して、関西医科大学助教授の杉本健郎先生による、新生児、乳幼児期のフォロー、学童期、特に超重度障害児の医療的ケア、通学圏、養護学校卒業後のサポート等を、日本と北欧、北米の医療保障、障害児医療と比較しながら、医療をどう結びつけるのか、その課題性と超重度障害児(者)の厳しい現状と、その課題への先生ご自身の取り組みについて医療サイドからの貴重な提案でフォーラムを締めくくっていただきました。

地域の熱意で差がつく社会福祉基礎構造改革

 てんかんのもつ課題は多種多様で、内包する課題に困難を極めるところですが、このたびの二つのフォーラムにより、障害種は切り口の違いで、理念としては、共通するものと認識を深めました。市民が興す地域の福祉力とネットワーク化を重要なキーワードとして、社会全体を巻き込むノーマライゼーション運動を興す地域活動を実践していきたい。私たちの取り組む「地域活動交流広場あかり」の理念と一致するところでもあります。大塚専門官をはじめすべてのゲストの方に共通した情熱と意気込みを心に据え、改革が実るよう地域活動に応えていきたい。まず身近にいる当事者のノーマライゼーションを進める一歩から…。このたびのフォーラムにかかわってくださったすべての皆様へいっぱいの感謝と健闘を誓い、私のレポートと致します。

(わたなべけいこ (社)日本てんかん協会鳥取県支部事務局長・地域活動交流広場あかり主宰)