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マイクロソフトにおける
すべての人が利用できるコンピュータへの取り組み
マイクロソフトのアクセシビリティポリシー

佐藤美智代

 1995年7月より、マイクロソフトはアクセシブルなソフトウェアの開発に責任を担うという企業ポリシーを採用しています。さらに、障害のある方を含む、すべての人々を支援するアクセシビリティ技術の提供を行うことを明言しています。マイクロソフトは、優れたソフトウェアは、身体的障害をもつ人の苦手な部分を補い、雇用の機会を増やすことができると信じています。
 マイクロソフトでは、アクセシブルなソフトウェアを障害者専用ツールとは考えていません。マイクロソフトが考えるアクセシブルな製品とは、基本的に、すべての人が同じプログラムを使用できること、必要に応じてカスタマイズ(調整)が可能であり、さらに必要に応じてはその代替機能が提供されることが可能である製品になります。提供方法は異なったとしても、すべての人に同等な機能を提供することが、マイクロソフトのアクセシビリティに対する考え方です。
 たとえば視覚障害の場合、「音声による情報提供が必要な人」、音声は必要ないが、弱視のため、「文字を大きくしたい人」「コントラストを強くしたい人」、逆に「コントラストが強いとまぶしい人」など、症状によって要求される機能が異なります。各症状に合うように個別のソフトウェアを開発していくことは、非効率であり、事実上不可能です。
 マイクロソフトでは、基本ソフトを別々に作成するのではなく、「文字を大きくしたい人」には、拡大鏡を組み合わせて使用する方法を提供し、「色の調整が必要な人」には、コンピュータで使用できる配色の設定を変更する方法を提供しています。全盲の方の場合には、音声リーダソフトウェア(他社製品)を組み合わせることによって、Windowsを一緒に使用できるようになります。

技術開発の視点

 「最新技術を提供すること」は当然ですが、「わかりやすい製品」「誰でも使える製品」を開発するために努力しています。「わかりやすい製品」「誰でも使える製品」は、基本的には異なる考え方になりますので、ここでは分けて説明します。

■「わかりやすい製品」の開発

 「わかりやすい製品」とは、「使いやすい製品」であり、「(操作、その他が)理解しやすい製品」です。このためには、多数の方を対象にした研究が行われ、対策が講じられます。「わかりやすい製品」への改善例を紹介します。

■操作性の追求

 マイクロソフトでは研究開発部門において人間工学に基づいた、ユーザーインターフェースの研究を行っています。Windows XPでは、配色方法、機能の分類方法に工夫を凝らした、新しいユーザーインターフェイス(UI)が採用されています。またユーザーが混乱しやすい場所を特定するために、不慣れなユーザーに製品を使ってもらい、その結果を研究するユーザービリティテストも行っています。

■操作に必要な資料(マニュアル)の完備

 Windows XPでは、「ヘルプとサポート」の機能が以前の製品に比べて大変充実しています。作業ステップを追いながら使い方を説明するウォークスルーや、トラブル発生時に問題解決に役立つトラブルシュータ、目的別に分類分けされた各種ヘルプファイルなどがあります。たとえば「ヘルプとサポート」画面、左中くらいに「ユーザー補助機能」のリンクがあります。それを選択すると、Windows XP上で入手可能なすべてのユーザー補助機能を一覧することができます。

■必要なサポートの提供

 さらにマイクロソフト製品では必要に応じて、簡単にサポートを受けることができます。Windows XPのリモートアシスタンスの機能を使えば、コンピュータに詳しい友人に自分のコンピュータにログインしてもらい、設定を代行してもらうことができます。リモートアシスタンスを使用すると、電話では伝えにくい画面の状態や、コンピュータの状態を直接相手に確認してもらえるので、これはサポートを受ける時に大変便利です。さらにインターネットに接続可能な場合には、ニュースグループなどのコミュニティを利用することもできます。マイクロソフトのサポート窓口には、電話だけでなく、Web経由で質問を送信することが可能です。

■「誰でも使える製品」の開発

 マイクロソフトは、すべての人に同等の機能を提供すること、つまり、「誰でも使える製品」を開発することを義務付けています。これは必要に応じて、カスタマイズが可能であること、さらに必要に応じて代替機能が提供されることを意味します。さらに、視覚情報のみで提供される情報がないこと、聴覚情報のみで提供される情報がないこと、マウス、キーボード等特定の入出力装置しか使用できないということがないことが求められます。

アクセシビリティ機能

■視覚障害への対応

 視覚に障害のある人の必要性に合わせて設定を変更できるソフトウェアやオペレーティングシステムの機能が提供されています。たとえば、拡大鏡を利用して、テキストや画像を拡大して表示させる、色のコントラストを上げる。また、色弱の人にとってスクリーンが見やすくなるように色の設定を変える、といったことができます。重度の視覚障害がある人のための支援ツールである、画面上のテキストを音声に変換や、点字ディスプレイに出力する画面読み上げソフト(他社製品)にも対応可能です。 

■聴覚障害への対応

 聴覚に障害がある人にとっては、音の情報を表示機能によって伝えてもらう必要があります。点滅ツールバーなどの画像効果を使用する、または、音声メッセージをテキストとして表示できるプログラムなどがあります。たとえば、サウンド表示機能(コントロールパネルで設定できるユーザー補助の設定オプション)をオンにすると、警告音とともに画面にメッセージが表示されます。

■四肢障害への対応

 キーボードやマウスの機能を調節する、または、その代替機能を設定する支援機能がコントロールパネルに用意されています。たとえば、マウスの代わりにテンキーでポインタを移動する。一度に複数のキー(CTRL+P など)を押すことができない場合には、固定キー機能を使用することで、キーを 一つずつ押すことで同じ機能を実行できます。

■知的障害への対応

 知的障害と言語障害には、難読症、記憶障害、問題解決障害、知覚障害、言葉の理解および使用に関する障害など、さまざまなものがあります。こうした障害のある人にとっては、複雑な表示、一貫性のない表示、言葉の選択などが、コンピュータを使用するうえで妨げとなります。音声入力プログラムを利用して、マウス、キーボードの代わりに音を使って入力することもできます。Windowsには、音の情報を、文字キャプションやわかりやすいアイコンなどで情報を視覚的に伝えることができる、サウンド解説機能が提供されています。

■てんかんへの対応

 てんかんを誘発する要素を取り除くことができます。画面のリフレッシュレート(点滅速度)や、カーソルの点滅速度が問題になる場合には、その間隔を調整することができます。

今後の方向性

■タブレットPCの登場

 マイクロソフトの新技術として、これまでのコンピュータの形態を大きく変えるタブレットPCが登場してくる予定です。タブレットPCでは、「ClearType」という新技術を利用し、紙に書くのと同じ操作で、データの入力を可能にします。キーボード入力と平行して、新たなる可能性を広げていくでしょう。

■PDAの普及

 すでに日本ではモバイルツールとして、携帯電話が大変普及していますが、PDAによってさらにさまざまな可能性が広がっていくと思います。PDAはあの小さなマシンの中に、Windowsとほぼ同等の機能を、詰め込んでいる製品です。拡張性は大変大きいです。コンピュータと携帯電話のその中間で、PDAならではの便利なアプリケーションが開発されてくれば、ユーザーと一緒に外出して、ユーザーを補助してくれるコンピュータになっていくでしょう。コンピュータと一緒に外出できることで、外出を不安に感じている方々の活動範囲が大きく広がっていくと思います。

■お客様の声を聞くこと

 最後になりましたが、なによりも大切なことは、実際のお客様の声を聞くことです。マイクロソフトでは、お客様からのご意見、将来追加してほしい機能を教えてもらうために、フィードバックサイトを用意しています。どんな機能をお客様は望んでいるのか? 今の機能は使いやすいのだろうか? その結果、お客様の意見は、次の製品の新しい製品の一機能に生まれ変わります。ぜひマイクロソフトにお客様の声をお聞かせください。

(さとうみちよ マイクロソフトアジアリミテッドPSS本部カスタマーセントラル部オンラインサポート)


参考Webサイト
マイクロソフトアクセシビリティサイト
http://www.microsoft.com/japan/enable/
マイクロソフト フィードバックサイト
http://www.microsoft.com/japan/feedback/default.asp