JR東日本のSuicaについて
山田忠夫
1.導入背景と取り組み方針
弊社におけるIT技術利用の代表例として、昨年11月よりサービスを開始した「Suica」が挙げられます。「Suica」は、昨年11月の導入後約4か月を経て、約1200万人(3月末日現在)のお客さまにご利用をいただいております。
平成2年に首都圏の駅に自動改札機の本格的な導入を開始し、その後イオカードの発売などお客さまに新たなサービスをご提供させていただきました。これと併行して、お客さまのニーズにより適合した次世代システムを展望し、Suicaの開発を進めてきました。この開発を進めるにあたり、弊社の基本方針である「お客さま第一」に基づき、より一層お客さまにご満足していただくために、鉄道サービスそのもののレベルアップを実現することを基本姿勢として進めて参りました。
2.Suicaとは
Suicaには、Suica定期券とSuicaイオカードの二種類があります。Suica定期券は、従来の定期券にイオカード機能を付加し、ICカード化(注1)したものです。Suicaイオカードは、従来のイオカードをICカード化したものです。
3.タッチ&ゴー
ICカードを採用することで、パスケースに入れたまま改札機に「タッチ」するだけでご利用いただけます。これにより手荷物を持ったままでも簡単に改札機を通ることができ、パスケースから定期券を取り出す煩わしさもなくなります。
4.紛失再発行サービス
Suicaには紛失再発行サービスがあります。Suicaではご利用情報がネットワークの中に保存されていることから、仮に紛失・盗難にあった場合でも、再発行をすることが可能となっており(注2)、安心してご利用いただけます。
5.ちょっとした工夫
1.音による判別
「改札機利用時の音(ビープ音)による判別」が可能です。これは改札機利用時に定期券有効期限、イオカード残額等を改札機前方の液晶部に表示することにより「もうすぐ定期券が切れる」「イオカード残額が切れる」旨を事前にご案内しているものを、改札機の処理音でも同様の情報をお伝えできるようにしたものです。たとえば、Suica定期券は、定期券区間内を利用した場合「ピッ」と鳴ります。またイオカード利用した場合「ピピッ」と鳴ります。さらにお客さまのご希望により定期券有効期間が14日以内になった場合は「ピッピッ」、イオカード残額が千円以下になった場合は「ピピピッ」という処理音を追加することができるようになっています。
2.切り欠き
券面右下側にある「切り欠き」により、目のご不自由な方でもSuica定期券、Suicaイオカードの識別が可能です。「切り欠き」はSuica定期券は一つ、Suicaイオカードは二つあります。
切り欠き
6.今後の取り組み
Suicaはお客さまから大変ご好評をいただいております。弊社といたしましては、お客さまからのご要望の中でも特に多い「利用エリアの拡大」につきまして、今後検討して参ります。これは、JR東日本内における利用エリアの拡大もありますが、さらに他交通機関にもSuicaの共通化を呼びかけていきたいと考えています。これにより、1枚のカードで複数の交通機関をご利用いただくことが可能となります。また、ICカードの特性を活かし、より多機能性のあるカードをめざしていきたいと考えています。
多機能性が実現できる新しいカード「Suica」ですが、今後ともより一層、お客さまに「わかりやすく」「つかいやすい」カードとしてご利用いただけますよう努力して参ります。
Suicaについての詳細は、弊社ホームページで紹介しております。なお、ホームページ読み上げソフトをお持ちの場合は、音声形式でご利用いただけます(http://www.jreast.co.jp/suica/)。
(やまだただお 東日本旅客鉄道株式会社営業部)
(注1)ICとは集積回路の略で、プラスチックカードにICチップを埋め込んだものです。
(注2)再発行手数料、デポジット(預かり金)として1500円を収受します。