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ブックガイド

脳外傷・高次脳機能障害の
当事者・家族に紹介したい本

東川悦子

 ここ数年、新聞・テレビ等マスコミで取り上げられたこともあって、脳外傷・高次脳機能障害についての書籍も出版されるようになり、書店に並び出しました。医学的な解説書ではなく、当事者の体験談や手記やルポルタージュを中心にした、読みやすい本を中心に選んでみました。

書店に注文すれば購入できる本

1.「脳外傷Q&A―本人と家族のためのガイドブック」

(日本脳外傷友の会編、明石書店、¥1,000+税)

 第1章 脳外傷(外傷性脳損傷)とはどのような障害か? その障害特性の解説から始まり、第2章 治療と社会保障、第3章 家族とリハビリテーション、第4章 世界の状況の紹介まで、救命救急医療の進歩により、かつては想定されなかった新たな後遺症障害をもつ、当事者・家族が福祉の狭間に取り残されている現在の状況に一筋の光としての情報を提供した。平易な文章で分かりやすくまとめられている。

2.「脳外傷ぼくの頭はどうなったの?―交通事故などの後遺症に悩む若者たち」

(原田三郎著、明石書店、¥1,500+税)

 著者は愛知県豊橋在住のフリーライター。名古屋市総合リハビリテーションセンターは脳外傷者への先駆的な取り組みを行っているが、その当事者・家族会「脳外傷友の会・みずほ」に所属する当事者・家族のルポルタージュ。見えない障害の重大さ、家族の苦闘が伝わってくる啓発の書。

3.「やってみようこんな工夫―高次脳機能障害への対応事例集」

(高次脳機能障害研究会編、筒井書房、¥1,000+税)

 主として、神奈川県立総合リハビリテーションセンターや横浜市総合リハビリテーションセンターで、脳外傷者や脳血管障害による高次脳機能障害者にかかわってきた作業療法士などによって執筆された本。記憶障害の代償手段としてのメモ手帳の活用、作業手順の図式化等、写真やイラスト入りで解説してある。

4.「脳の障害と向き合おう―理解できる高次脳機能障害」

(中島恵子著、ゴマブックス、¥1,333+税)

 著者は東京都リハビリテーション病院の心理主任。2001年11月発行で巻末には、最新の家族会、情報、インターネットホームページ等が掲載されている。検査法の障害、簡単な訓練方法、脳の機能と多様な障害の解説などがすべて、大きな文字と簡単なイラストで紹介されている。

5.「記憶障害のケア―患者さんと家族のためのガイド」

(綿森淑子監訳、中央法規出版、¥1,500+税)

 イギリスのバーバラ・ウィルソンとリンダ・クララによって書かれた、小冊子の訳本でQ&A形式で書かれ、イラスト入りで読みやすい。記憶とは何か、失った記憶を補う方法は、家族はどのように手助けをするかなどが解説されてある。巻末には、わが国の当事者・家族の体験手記も載っている。

書店では購入できないが、特にお勧めの安価なガイドブック

 「脳外傷友の会・みずほ」事務局で取り扱っています(TEL・FAX 052-836-6046 E-mail:Nagoya-mizuho@hot.hi-ho.ne.jp)。それぞれ¥300+送料がかかります。

6.「いっしょにがんばろう」

 「脳外傷とどうつきあうか、家庭と職場のためのQ&A」というサブタイトルがついた小冊子。脳外傷にくわしい、先駆的な取り組みをしている名古屋市総合リハビリテーション研究会によってまとめられた。家庭や職場で直面するトラブルにどう対処したらよいか、具体的にイラスト入りで解説されている。

7.「脳外傷とのつきあい方 みずほ講演会講演録、講師阿部順子」

 阿部順子氏は名古屋市総合リハビリテーションセンターの臨床心理士。さまざまなトラブルへの対処法など家族にわかりやすく、情熱をもって説いている。

(ひがしかわえつこ 日本脳外傷友の会会長)