音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

体験
SPコード・スピーチオで画期的な「情報の共有」

大河内直之

 SPコードは、紙などに印字できるおよそ1.8センチメートル角の二次元コードで、約1500バイト、テキストデータにすると800文字程度が記録できる。したがって、墨字文書1ページ分の情報を、同じ紙面上に圧縮・記録することが可能である。
 スピーチオは、視覚障害者向けに開発されたSPコード専用読み取り機で、紙に印字されたSPコードの情報を、音声・点字・テキストとして取り出すことができる。これにより、視覚障害者の紙に書かれた文字情報へのアクセスが容易に実現する。
 私はこのシステムを、発売とほぼ同時に導入してみた。まず、使い始めて新鮮だったことは、一般の紙のマニュアルがそのまま読めるということである。つまり、スピーチオの取り扱い説明書にはすべてSPコードが付加されているため、箱から取り出した説明書がスピーチオを使ってそのまま利用できたのである。一般の紙の説明書から情報を共有できるということは生まれて初めての体験であり、大変驚きであった。それと同時に、さまざまな製品の説明書に、このようにSPコードがついていたらどんなに便利かとつくづく感じた。
 現在、私の使い方としては、ワードで印刷するものには、すべてSPコードを付加してみている。こうすることにより、印刷された紙から簡単に情報が取得できるため、「この紙は何が印刷されているのか」ということを家族にいちいち尋ねることなく、印刷物の整理ができるようになった。また、多くの人にSPコードを知ってもらおうと、名刺にSPコードをつけている。
 今後の課題としては、SPコードの普及に尽きると考えている。私の日常的な家庭内でもこのように利便性が高まったのだから、一般文書にSPコードが普及していけばどれだけ大きな意味を持ってくるのか想像もできない。先にも述べたように、取り扱い説明書一つにSPコードが付加されているだけで、視覚障害者にとっては非常に大きな意味を持つのである。こうしたことからも、SPコードの一般への普及は大変重要なことである。また、これは一企業・団体だけが取り組む質の問題ではないように感じる。さまざまな立場の個人・団体が協力することで、「情報の共有」という意識が高まり、その成果としてSPコードの普及が促進される。よって、多くの人々の参加によるSPコードのPR活動が不可欠だと考える。私も、できる限り協力し、SPコードの普及に努めたいと考えている。

(おおこうちなおゆき 東京都在住)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2002年7月号(第22巻 通巻252号)