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肢体不自由

竹内正直

 いつも頭を離れない思いがあります。
 それは障害者プランが、その後の国と市町村における障害者施策推進のうえで、力強い弾みとなったことは紛れもない事実であり、タイムリーで画期的な取り組みであったと考えており、いよいよ「7か年戦略」の終期を迎えて、この思いに変わりはありません。
 しかしながら「戦略」として掲げた目標値が、やや当面する課題の数値にとどまっていることに永い間気がかりでした。大胆に総需要の数値と、中長期的にわたる展望を具体的に示しながら、当面する緊急な課題への方途を明確にしてほしかった、そんな思いがプラン発表時からしておりました。
 また、緊急に整備すべき目標値で、その消化の進捗が各年次にわたって平準化され、トータルで100%に至るという方式は、関係省庁の予算の枠組みの関係とは言いながら、果たして施策の現場の障害者はどんな思いでこれらの数字と向き合ってきたのでしょうか。最も訴求度・緊要度の高い施策分野が、時に突出した値いを示すことがあってもよいのではないか。
 障害のある者が、個人の尊厳にふさわしい処遇を保障され、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加できる社会を、一日も早く実現することをプランが究極の目標とする以上、到達のハードルを高く障害者のニーズの実態に即して掲げて、分野別に競い合うことがあってもよいのではないか。
 新しいプランは、こうした在来の戦略の根っこを厳しく洗い直し、斬新にして大胆な発想による戦術を組み立ててほしいと思います。とりわけ、数値に表れにくい分野についても十分な配慮を望みたい。
 1993年国連総会決議(48/96)により採択された障害者の機会均等化に関する基準規則は、「平等な権利の原則とは、各個人全員のニーズは等しく重要であり、そのニーズが社会の設計の基礎とされなければならず、全ての個人に参加への平等な機会を保障するような全資源は利用されなければならない」と述べておりますが、この理念によれば、たとえば、教育の権利に関する保障を、「統合化」を避けて教育の「効果」に置き換え、あるいは雇用率と雇用課徴金の差し引き勘定で雇用対策を進めるといった、現状の数値の延長、積み増しでよいのかを厳しく問うており、ここに新たなプランの物差しを当てて、先行きの「自立」を明解に示してほしいのです。

(たけうちまさなお 山梨県障害者福祉協会理事長)