音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

1000字提言

DPI世界会議に期待する

野上温子

 6月に入ってサッカーのワールドカップが始まり、熱烈なファンでもないのに、毎日何とはなしに、テレビに見入ってしまう自分がいて苦笑している。
 障害者の世界でも、今年は4年に一度のDPI世界会議が10月に札幌で開かれる。もうまもなくのこと。私はこの大会に直接何もかかわっているわけでもない。DPIの個人会員の一人に過ぎないが、この大会が成功裏に終わることを、陰で心から願っている一人である。
 1986年日本にDPIが結成され、世界会議に加盟したときから、世界の中で、日本の中で、どのような活動を展開していくのか、片隅から眺め続けてきた。私の記憶の中では、日本では交通アクセス、バリアフリー、欠格条項見直しや差別禁止法の取り組み、最近では支援費制度についての取り組みなどで、他団体をまとめ、リーダーシップを取っているように思っている。世界の中では、アジアの障害者に対し、支援活動と交流を深めているという認識でいるのだが。
 今年で「アジア太平洋障害者の十年」が終わるというが、日本のDPIは、この間、それなりに貢献してきたし、日本の当事者組織の束ね役としても、当事者組織の代表格にもなっている。
 私は過去2回ほど、DPI世界会議に参加した経験を持っている。カナダとオーストラリアでの大会で、その時の感激を今でも忘れることができない。特に初めて参加したカナダバンクーバーでの、熱気あふれる会議場の様子や、レセプションでの交流、世界の障害者が一堂に会する全体会で、世界のリーダーたちが次々と語る、熱いメッセージに胸躍らされたものだ。
 あの大会が日本で開かれると聞いたときから待っていた。この日本での大会で何が生まれ、障害者の世界はどう変わっていくのだろうか。これを機に、世界の障害者の連帯感がいっそう高まり、日本にもアメリカのような、ADA法や差別禁止法が制定されていくように強く願っている。
 今回の大会テーマが「なくそうバリア、ふやそうバリアフリー」。このテーマを実現するために、今もこれからも大切なことは、連帯し「われら自身の声」をあげ続ける人でありたいと思っている。札幌大会を成功させることで、新たなる飛躍への出発点となるように。
 思いを同じにする世界の仲間たちに会うために、私も札幌大会に参加しようと思っている。

(のがみはるこ CIL立川障害者生活支援事業部統括責任者)