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「アジア太平洋VSAフェスティバル
in Japan 2002」について

城裕司

 NPOさをりひろばは、1992年3月から始まった障害と共に生きる人々による芸術祭「とっておきの芸術祭」を毎年全国各地で開催して参りました。「アジア太平洋障害者の十年」期間中も、それに関連付けた催しを積極的に行い、国内はもとより海外とのネットワークも広げてきました。最終年の今年は、「障害と共に生きる人々の芸術活動」の集大成として、また最終年記念フォーラムの文化芸術部門の一環として、「アジア太平洋VSAフェスティバルin Japan 2002」という名称で次の要領で開催いたしましたので、報告させていただきます。

1.「世界大風呂敷展」10/3~1/12:国立民族学博物館

 国立民族学博物館のお誘いにより、特別展示の建物全体を185本のさをり織りで飾りつけることができました。館内ではさをり織りで作ったモンゴルの住居・パオの中で、吹田市の作業所「アトリエユーハウス」の協力による体験織り実習をしていただけるコーナーを設けました。

2.「織と異文化交流」10/21~24:ツイン21ギャラリー

 4階吹き抜けエントランスホールに、48本の布を吊り下げ、その下のフロアーにはパオを設営しました。周囲に、「服の形をしたアート」作品59点、障害と共に生きる人々とのコラボレーション作品28点、そして海外からの芸術作品15点をディスプレイしました。その他、「パソナ・アート村プロジェクト」の絵画、「土の子陶房」の陶芸作品を協力展示していただき、「NPO日本体力測定普及協会」による障害者向けのパソコンマウスの実演、「(財)日本障害者リハビリテーション協会」によるDAISYプログラムの実演も行われました。香港の方々によるワークショップ等も行われ、行き交う多くの人々に実際に体験・体感していただける空間を演出することができました。

3.「国際シンポジウム・交流パーティー」10/23:ザ・リッツ・カールトン大阪

 タイ・フィリピン・香港・べトナム・カナダ・クウェート・トルコ・スリランカの海外8か国からNGOの代表に参加していただき、各国における活動報告から、互いの技術や意見を交換する場として、「国際シンポジウム」を開催しました。「織と異文化交流」をテーマに、それぞれ自国における障害と共に生きる人々と芸術の関わりについての発表がありました。たとえば、カナダの代表はアートを通じての選択可能な精神保健サービスについて、また香港の代表は「だれもが芸術を創造するための潜在能力を持っている」という考え方に基づき「芸術の美しさと生命力を楽しむ権利」を奨励していることについて、そしてベトナムの代表は、ホーチミン市で障害者の自立支援のためにSAORIを導入した事業が始まったことについて報告していただきました。ほかにも、11月からスタートするタイ政府とNPOさをりひろばとの合同事業であるJICA開発パートナーシップ・プログラムの準備報告が行われました。
 交流パーティーには海外ゲストを含め265人の参加がありました。尺八と琴の日本的な演奏で幕が開き、スリランカの魅惑的なダンス、アイリッシュ音楽の生バンド演奏に乗っての参加者全員によるファッションショー等で盛り上がり、親睦を深めることができました。

4.「ファッションライブ」10/24:MIDシアター

 海外のゲストも含め、全国から500人弱の参加がありました。さをり織り創始者・城みさをの講演の後行われたファッションライブでは、海外のゲストも飛び入り参加し、ほとんど全員が舞台に上がり自己表現を楽しんでいました。会場は笑いと熱気で包まれ、最高潮でフィナーレを迎えることができました。

(じょうひろし NPO法人さをりひろば)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2002年12月号(第22巻 通巻257号)