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2002
私が選んだ今年の5大ニュース

岩手

佐賀善司(さがぜんじ)

1955年生まれ。63年岩手県立盲学校入学、79年筑波大付属盲専攻科卒。点字出版所を経て、現在、点字図書館勤務。趣味は音楽。

1 身体障害者補助犬法施行(10月1日~)

 同法により盲導犬や介助犬の意義が社会のシステムとして認知された。このことが使用者の活動の場を広げるとともに、障害者の自立を支援する選ばれた犬たちを社会資源として見直す端緒となるよう願っている。

2 盲学校の児童・生徒数が全国で4000人を下回る

 幼時失明者の減少は医学が発達したおかげであるが、子どもが育つうえで欠かせない共磨きの環境が失われつつあることは憂慮に値する。他方、病気や事故が原因の中途失明者は増加している。このような現状に合った教育システムの構築が望まれる。

3 東北新幹線の延長(八戸まで)に伴い、並行する在来線が第3セクターに

 住民の足と引換にするほど、地域のために新幹線は必要なのか?自前の移動手段を持たず、公共交通機関に依存している視覚障害者にとっては、JRの在来線からの撤退は痛い。これは、地方に住む視覚障害者に共通の悩みだと思う。

4 点字ブロックがJISで規格化

5 来春長女が中学、次女が小学校を卒業

 個人的な話で恐縮だが、親になって15年。心配も含めて毎日がわくわくの連続だった。成績表をテープに入れたり学級通信のデータ用のフロッピーを用意したりと、先生方の配慮も行き届いていた。周囲の親御さんの協力で、クラス行事に参加したりPTAの役員も務めることができた。子どもを通して私たちの世界も広がったことに感謝したい。


東京

今西正義(いまにしまさよし)

1949年東京都出身。NPO法人DPI日本会議理事、全国頚髄損傷者連絡会相談役、NPO法人トータル・アクセス・サポート・センター事務局長、株式会社ジェイティービー本社営業部JTBバリアフリープラザ統括部長。

1 「DPI世界会議(10/15~10/18)」札幌宣言を採択

 世界109か国から約3000人の障害者が札幌に集まり、人権問題などを議論。1.人権擁護に拘束力を持つ障害者権利条約の制定、2.法律作成には障害者の意見を反映させる、3.条約制定を各国が支持し、国内法で差別禁止法を定め、障害者機会均等を保障することとした。

2 ESCAP「アジア太平洋障害者の十年」をさらに10年間延長(2003~2012年)

3 「高齢者・身体障害者らが円滑に利用できる特定建築物の建築促進法」の改正

 ハートビル法改正法が成立した。デパートやホテルなど不特定多数が利用する、床面積2000m以上の施設に対し、バリアフリー対策が義務づけられた。

4 学生無年金障害者の救済への糸口

 国民年金未加入の学生時に障害を負い、障害基礎年金の受給がない無年金障害者へ、現在の障害基礎年金の半額程度を税を財源に支給する考え方を厚労大臣が明らかにした。

5 「福祉のまちづくり体験学習」(NPO法人トータル・アクセス・サポート・センター)

 重度の障害者が自立生活で培ったノウハウを新たな職業として活かし、21世紀の社会づくりに、青少年育成に向け「体験学習インストラクター」として実績を作ったこと。


東京

兒玉明(こだまあきら)

日本身体障害者団体連合会(中央障害者社会参加推進センター)会長。温厚な人柄と幅広い行動力で、日本の障害当事者運動を盛り上げている。

1 第三種・第四種郵便物制度存続に向けた共同歩調

 郵政事業の公社化に伴い廃止が検討されていた第三種・第四種郵便物制度について、当連合会は日本盲人会連合・全日本ろうあ連盟・日本障害者協議会・全国社会福祉協議会・日本障害者リハビリテーション協会が、制度存続を求める合同緊急要望書を小泉首相、片山総務相らに提出。これが効を奏し、制度存続が決定した。

2 「アジア太平洋障害者の十年」最終年国際会議の成功

 10月に札幌で第6回DPI世界会議、第12回RIアジア太平洋地域会議、「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン会議2002が、札幌と大阪で開催され、大成功のうちに終了した。権利条約など新たな課題の解決に向け大きなステップとなった。

3 日韓障害者協会友好締結調印式の実施

 今年は日韓共催のサッカー・ワールドカップが開かれた年でもある。今年の4月、当連合会は韓國肢軆障碍人協会と日韓障害者団体友好締結をし、ソウル市内で調印式を行った。アジア太平洋障害者NGO間の新たなネットワーク構築の礎となるであろう。

4 世界の障害者EXPO2002への協力

 9月23日から同月27日、釜山展示コンベンションセンターで「世界の障害者EXPO2002」が開催された。日本からも100人を超える参加者と多数の出展企業があり、当連合会でも全面的な協力を行い、盛況だった。

5 国連・障害者権利条約特別委員会傍聴団の派遣

 7月から8月にかけてニューヨークの国連本部で開かれた障害者権利条約に関する特別委員会に、日本のNGO傍聴団の代表として出席した。条約制定の必要性と、今後ますますのNGOの努力・相互協力の必要性を認識した。


東京

坂本秀男(さかもとひでお)

全国難病団体連絡協議会事務局長。妻の病気(多発性硬化症)をきっかけに患者会運動に参加。難病患者・家族の社会的な救済、総合的な対策の確立を求めて運動している。

1 3.28集会の開催

 日本患者・家族団体協議会と全国難病団体連絡協議会が呼びかけ、全国から22疾病団体、35地域難病連が参加、1065の団体から支持が寄せられる。難病対策や小慢対策の後退、医療制度改悪に反対する集会アピールを採択、厚生労働委員や関係省庁への要請を行う。

2 医療制度の改悪

 7月26日、参議院本会議で高齢者1割負担、健保本人3割負担、政管健保の総報酬制導入などの医療制度改悪法案を採択する。

3 難病対策委員会の中間報告

 8月23日、難病対策委員会が「今後の難病対策の在り方」を中間報告。難病対策の将来像を示さないまま、削減された予算の枠内に難病対策を後退させる、対象疾病外しと患者負担増の内容となった。

4 神経難病団体の予算要求

 10月15日、全国脊椎小脳変成症友の会の呼びかけで、全国パーキンソン病友の会、全国多発性硬化症友の会、全国筋無力症友の会、日本ALS協会の神経難病団体が、厚労省との合同交渉を行った。

5 11.17全国患者・家族集会

 「難病対策30年、歴史が私たちに教えるものは何か」をテーマに、11月17日に患者会運動の到達点を語り合い、18日には難病患者・小児慢性患者の未来を学び合う、全国患者・家族集会を開催した。


神奈川

師康晴(もろやすはる)

社会福祉法人杜の会SELP・杜、中野地域ケアプラザ総合センター長、施設を基点に老人・障碍・子どもの共生の場づくりを実践。

1 支援費制度導入前年

 2003年より社会福祉基礎構造改革を受けて障碍福祉関係が措置制度から契約に基づく支援費制度に移行する。6月、9月に厚生労働省社会・援護局が障碍程度区分やその支援費について詳細を明らかにした。施設訓練支援費は3段階、居宅生活支援費は2段階とし、それらに応じて支援費額が決まる。試算すると措置制度の時と比べてその総額はほとんど変わらない。措置制度は利用者の生き方を「施設」に固定するという弊害はあったが、公的責任は明確であった。支援費制度を生かすには、利用者のニーズを正面から受けとめる相談機能やケアマネジメント制度、利用者が選べるだけの福祉資源を用意することが不可欠。

2 東京都福祉改革とその影響

 福祉改革STEP2発表、重装備施設偏重福祉から地域の住まいを重視した福祉が謳(うた)われ、公立施設の民間への移譲やグループホームの整備促進など。横浜など法外扶助費の割合が高い都市でも同じ動きが見える。3.も同様、福祉の公的責任が民間のほうへ移されていく流れができつつある。どの形態になっても利用者にとって最善のサービスをつくることが最重要。

3 介護保険施設に民間会社参入の可能性(特別養護老人ホームなど)

4 虐待とDVの激増

 少子化社会でありながら児童相談所の一時保護数や児童養護施設、乳児院が満杯である。昨年10月から施行されたDV法では、今年度半年間に1万7000件の相談件数があった。現代における家族問題を横断的に解決する社会的な仕組みづくりが必要。虐待予防は子育て支援を社会的に充実させること。12月13日東京日比谷で子どもの虐待死を悼み、命をたたえる市民集会・パレードがある。虐待防止法や児童福祉法の改正を求める画期的な集会。

5 自殺者数3万人・98年から連続5年を記録

 父・母の自殺の原因はいろいろだが、残された遺児の経済的、精神的な問題は複雑極まりないものがある。


富山

舟田縁(ふなだゆかり)

診療放射線技師として公的病院に勤務。2001年、仲間とともに「聴覚障害をもつ医療従事者の会」を立ち上げ、以後事務局を務める。

1 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム開催

 札幌のDPI世界会議に始まり、大阪フォーラム、大津でのESCAPと続いた一連の会議・大会は記憶に新しい。これはさらに10年延長されることになっているが、各国にとっても日本にとっても未来へ向けてのステップとなる大会だったのではないか。

2 ろうの精神保健福祉士誕生

 大阪在住の女性が重度の聴覚障害者としては、おそらく初めてと思われる精神保健福祉士の資格を取得された。さらに多くの聴覚障害者が精神保健分野で活躍する日が来ることを期待したい。

3 道路交通法改正される

 新「道交法」が施行されたが、聴覚障害に関しては免許取得条件の緩和など何ら変化はなかったことは残念であり、今後も粘り強く運動を続けていかなければならない。

4 「身体障害者補助犬法」施行される

 盲導犬に比して介助犬や聴導犬は理解も普及もまだまだといった感がある。筆者の住む地域でも過去、講演のために来県した聴導犬の宿泊先確保に苦心したと聞く。法施行により社会の理解が促進されることを願っている。

5 「たましろの郷」オープン

 東京都青梅市に開所したろう重複の生活就労施設。土地取得問題などさまざまなハードルを経ての開所であった。


三重

石丸晃子(いしまるあきこ)

45歳の自閉症の息子は35年の入所生活を経て家族のもとに帰りました。現在作業所に元気に通って4年目です。社団法人日本自閉症協会理事、全国自閉症者施設協議会会長、社会福祉法人檜の里理事長。

1 自閉症・発達障害支援センターが今年度全国11か所に設置決定

 これまで障害特性に合った支援がなされてこなかった自閉症の人たちにとって、画期的な施策の実現。知的障害を伴わない高機能自閉症児者やアスペルガー症候群の人たちも支援の対象とする障害児者支援の未開拓分野への新たな取り組みである。センターは本人や家族に対する相談・助言や療育支援、就労相談支援、情報提供のほかに、専門家の養成、関係施設・機関等の連携の拠点として期待されている。

2 支援費支給申請開始

 各市町村で支給申請受付が始まった。利用者主体の制度とはいえ、自閉症の人たちには障害の程度区分が適切に審査されるだろうか、処遇困難な人が利用できるサービスや自己負担に見合う所得保障があるだろうか、等の不安が絶えない。支援を必要とする人が落ちこぼれない共生の社会づくりが問われている。

3 地域生活援助事業実施要綱の改正

 5月の改正で、入居要件であった収入や身辺自立が不問となり、ホームヘルパーの利用可能と併せて、支援度の高い知的障害者のグループホーム利用がより現実的になった。

4 成年後見制度利用支援事業

 今年度から知的障害者にも利用可能になった。利用契約制度が正しく実質的に展開するために、より制度の周知と充実が望まれる。

5 職業生活支援センターと職場適応援助者(ジョブコーチ)事業の制度化


大阪

北野誠一(きたのせいいち)

桃山学院大学社会学部社会福祉学科教授。大阪のいくつかの自立生活センターと全国自立生活センター協議会の運営委員。厚生労働省社会保障審議会福祉部会委員等。

1 ジャスティン・ダート(アメリカ6月)とヘンリー・エンズ(カナダ8月)死去

 二人とも障害者の自立生活運動と権利運動の世界的中心的メンバーだった。とてもつらく悲しいが、いつまでも悲しんでばかりはいられない。新しい人達よ、出でよ!!

2 精神保健福祉業務の市町村への移管(4月)

 いよいよすべての障害者支援が市町村を中心に実施されることになった。だが、精神障害者の病院からの地域移行や、ホームヘルパー業務等は遅々として進まない。精神障害者が地域で当たり前に暮らせるサービスをすべての市町村に!!

3 大阪府・福祉サービス第三者評価システム推進支援会議発足(6月)

 国の報告を受けて、大阪府では3年間の検討会を踏まえて「第三者評価システム推進支援会議・大阪」を立ち上げた。利用者が真にサービスを選ぶことが可能な情報を提供するとともに、サービス提供者のサービスの質の改善に役立つ第三者評価を支援する仕組みとして、今後の「大阪支援会議」の展開に乞う御期待!!

4 支援費制度の全容が明らかとなる(9月)

 いよいよ支援費制度の全容が明らかになるにつれて…。国は障害者の地域生活支援に本気で取り組め!!

5 DPI世界会議(札幌)とRI・RNNアジア太平洋会議(大阪)そして国連ESCAP会議(大津)(10月)

 10月はとてもにぎやかで大変で、喜んだり、怒ったりで…。私はなんと2週間、この三つの国際会議をハシゴして、もう疲れた、疲れた。中でも私の大学の学生を連れて行ったDPI世界会議が一番楽しかった。知っている人も多かったし。
 全体として、日本の政府の対応に不満は残るが、ともかく障害者が当たり前に地域で暮らせる社会を作るために“障害者差別禁止法”と“障害者総合サービス法”を勝ち取るぞ!!


高知

田所淳子(たどころじゅんこ)

高知市生まれ、精神保健福祉士。1988年~高知県中央保健所勤務、1994年~高知県立精神保健福祉センター勤務。高知県精神障害スポーツ推進協議会事務局長、全国精神保健福祉相談員会理事、等を務める。

1 市町村における精神保健福祉行政の始まり

 「精神保健および精神障害者福祉に関する法律」が改正され、平成12年4月から施行。法内の一部である居宅生活支援事業(ホームヘルプサービスなど)、障害者手帳・公費負担通院制度申請窓口業務、相談対応などについては平成14年4月から市町村において施行。独自サービスを増やすなど元気な市町村が増える反面、市町村格差も…。

2 全国障害者スポーツ大会オープン競技に精神障害者バレーボール

 平成14年11月、高知県において盛大に開催された「第2回全国障害者スポーツ大会(よさこいピック高知)」に精神障害者単独競技が初めて参入。スポーツを通じての社会参加へホイッスル高らかに。

3 「心神喪失者医療観察制度」法案、紛糾

 重大事件を起こした精神障害者の処遇に関する法案が国会で審議された。関係団体は賛成・反対に分かれ、紛擾多端。医療・司法・人権・福祉・地域ケアなどすべてのあり方が問われている。真のノーマライゼーション、リハビリテーションをめざし、その行方はいかに。

4 「第12回世界精神医学会(WPA)横浜大会」開催される

 平成14年8月24~29日、「手をつなごう 心の世紀に」をテーマに、全世界から関係者ら約6000人が参加。シンポジウムやセッションなど、多彩なプログラムが行われた。精神医学・精神保健を通じて世界はひとつ、世界は仲間。

5 呼称変更「精神分裂病」から「統合失調症」へ

 67年間使われてきた病名が変更。名前からのイメージも払拭したいという願いを込めて。ただし名前だけに終わらないようにしたいもの。


全日本育成会本人大会実行委員会メンバー

全日本育成会本人大会実行委員会メンバー

メンバーは、全日本育成会の本人大会実行委員会のメンバーです。本人大会の企画運営を行い、本人決議も作りました。本人活動を広める活動もやっています。

1 大きな国際会議がありました

 今年は大規模な世界会議が日本でDPI、オーストラリアでIIがあり、世界の人と夢を語り合ったり、いろいろなことについて話し合いました。世界の人と話し合うことは、とても大切なことです。

2 新障害者基本計画の懇談会に出席しました

 新しい基本計画の懇談会が開かれました。残念ながら、知的障害のある人は1人も委員にはなれなかったけど、参考人として、3人が呼ばれ、意見を言いました。行政が施策を決めるときは、私たちを委員に入れたり、声をちゃんと聞いてほしいと思います。

3 新しい制度が15年度から始まります

 多くの人が制度がかわることをまだ知りません。制度がどのように変わるのか、私たちにわかるように説明してほしいと思います。

4 リストラが深刻です

 知的障害のある人がたくさん会社をクビになっています。また、お給料を減らされたりしています。生活を支えるお給料が減ることは大変なことです。また、福祉手当なども、減ってきました。これから、どのように暮らせばよいのか、不安です。

5 いじめや、暴力が今年もたくさんありました

 やめてほしいと思います。
 今年も、このように不安になるようなことがたくさんありましたが、私たちが願うのは、地域に暮らす一人として、安心して暮らせることです。