音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

【国土交通省】
新しい「障害者基本計画」について

 障害者等が自立して生活し、積極的に社会へ参加していくうえで、障害者等にとって利用しやすい生活環境へと公共施設や交通機関の社会基盤を変えていくことが重要な課題であり、広く国民に認識されている。このため、障害者等すべての人が安全に安心して生活できる快適な生活環境を整備するため、住宅・建築物のバリアフリー化や、公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化等を推進し、自宅から交通機関、まちなかまで連続したバリアフリー環境の整備を総合的に展開している。
 また、政府は障害者の社会への参加、参画に向けた施策の一層の推進を図るため、新しい「障害者基本計画」を策定した。
 以下に新しく策定された「障害者基本計画」における国土交通省の主な施策について紹介する。

1.住宅、建築物のバリアフリー化

 住宅のバリアフリー化については、新設される公共賃貸住宅において、設計、設備の面で障害者等に配慮し、加齢等による身体機能の低下等に対応した住宅を標準仕様として供給するとともに、手すりの設置、広い廊下幅の確保、段差の解消等がなされた住宅ストックの形成を推進することとしている。
 また、建築物のバリアフリー化については、平成6年に制定した「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法)に基づき、劇場、百貨店等の不特定多数の者が利用する建築物について、バリアフリー化の努力義務を課したところであるが、さらに平成14年度には、建築物におけるバリアフリー化をより一層推進するため、特定建築物のうち一定の用途及び規模のものについてバリアフリー化を義務付けるなどの法改正を行い、ハートビル法の利用円滑化基準に適合する特別特定建築物(新・増改築工事に係る部分の床面積が2000m以上のもの)の建築を推進することとしている。
 所管官庁施設については、国民に親しみやすく、便利で、かつ安全でなければならないことから、バリアフリー化について、障害者等が円滑に利用できるよう官庁施設の整備を推進してきたところであるが、さらに障害者等すべての人が円滑かつ快適に施設を利用できるよう、窓口業務を行う事務室の出入口への自動ドア、多機能トイレの設置、憩いの場となる空間の提供などによる高度なバリアフリー化をめざした官庁施設の整備を実施する。

図 障害者等が円滑に利用できる建築物のイメージ
障害者等が円滑に利用できる建築物のイメージ

2.公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化

(1)公共交通機関

 平成12年度に制定した、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」により、駅等の旅客施設やバス等の車両導入の場合などによる各種のバリアフリー化の義務付け等を設定し、公共交通機関のバリアフリー化を推進する。また、単独では公共交通機関を利用できないような障害者等の輸送(STS)について、NPO等によるボランティアの活用を含めた実証実験を踏まえ現在、検討を実施している。

(2)歩行空間、公園、水辺空間等

 市街地の駅、商店街、病院などの周辺等において、幅の広い歩道や段差、勾配の改善等のバリアフリー化や、水辺にアプローチしやすいスロープや手摺り付きの階段、緩傾斜堤の整備など、障害者等が安全に安心して活動し、社会参加できる公共施設の整備を進める。
 なお、公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化を促進するため、「公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドライン」、「公共交通機関の車両等に関するモデルデザイン」、「道路の移動円滑化整備ガイドライン」、「みんなのための公園づくり―ユニバーサルデザイン手法による設計指針」などの策定や、歩行者のためのITS(高度道路交通システム)の研究開発などを進める。

図 交通バリアフリー法でこう変わります。

3.災害対策

 障害者等の災害弱者は、災害時には自力での避難が困難なことから、土砂災害の未然防止のための災害弱者対策の推進が一層求められている。このため、関係省庁と連携し、土砂災害のおそれのある地区に係る災害弱者関連施設のうち防災工事が必要な箇所について、砂防事業、地すべり対策事業及び急傾斜地崩壊対策事業を重点的に実施する。

 以上、簡単に新しい「障害者基本計画」における国土交通省の主要な施策を紹介したが、今後も、障害者等が自立し社会参加できる生活環境を整備し、すべての人々が、安全に安心して暮らしていける社会環境をつくっていくことが重要である。

(国土交通省総合政策局政策課)