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1000字提言

電子辞書

岡本昇

 皆さんの家庭には何冊の辞書があるだろうか。英和辞典、国語辞典、漢和辞典などはどの家庭にも置いてあると思う。しかし、学生や専門職に就いている人以外は、普段あまり使っていないだろう。ところが今、「電子辞書」がよく売れているようだ。普段あまり使わないものなのに、どうしてなのだろうか。
 私は、子どものときから主に点字を使っている。高校生の頃は点字の英和辞典で学習した。1冊の辞書が20巻ぐらいに分かれていて、単語を調べるのにすごく時間がかかった。英和辞典だけで本棚の3分の1を使っていた。そんな大がかりな辞書だが、中学校で最初に使う小さいサイズのものと同じ単語数だった。これを使っていたからか、辞書を使うことが苦手で、そういうことから逃げていた。ところが、だんだんとそうはいかなくなってきた。日常のいろいろな場面で初めて耳にする言葉やパソコン用語、略語などが出てくる。知らないままにしておくと、困ることがしばしば。ポケットに入るくらいコンパクトで、10冊以上の辞書が使えて、価格が手ごろな電子辞書が売れるのは納得できる。視覚障害者にも使える電子辞書があればいいと思うが、現在はまだ売られていないようだ。
 最近、インターネットのホームページ上で辞書検索のサービスを行っているところがいくつかある。これはホームページの入力欄に調べたい言葉を入れ実行すると、検索結果を画面に表示するサービスだ。視覚障害者も、音声でホームページを読み上げるソフトを使えば、このサービスが利用できる。ただ、検索結果以外の余分な広告などを読み上げるため、かなり使いにくい。そんな問題を解決してくれるものがある。「ネット辞典リーダー」というパソコンソフトだ。これはパソコンの画面に辞書専用の画面を表示し、調べたい言葉を入力して実行すると、インターネットの辞書検索サービスを提供しているホームページにアクセスする。検索結果が返されると必要な情報だけを取り出して、専用の画面に表示してくれる。これを、スクリーンリーダー(*)で音声化できる。国語辞典、英和・和英辞典、新語辞典、デジタル用語辞典、日英・英日翻訳、郵便番号・住所検索、電話番号検索のサービスが利用できる。ホームページのサービスを利用するので、情報は常に新しいものが提供される。
 毎日は使わないが、必要なときにないと不便な辞書。ポケットには入らないが、辞書がこんなに手軽に使えることを感謝している。
(*) パソコンの画面を音声で読み上げるソフトウエアの総称。

(おかもとのぼる 日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター職業訓練部)