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マネージャーもチームの一員として

五十嵐えり

 私が現在マネージャーをしているのは、国立別府重度障害者センターのツインバスケットボールチームです。選手、監督、コーチら合わせ計22人で構成されています。
 「観にきたらいいさー」入所してから間もなく、右も左もわからない私にバスケクラブの人が声をかけてくれました。以前入院していた国立リハビリテーションセンターでツインバスケは知っており、興味もあったのですぐ見学に行きました。
 最初は軽い気持ちで練習に参加していましたが、一生懸命練習している他の部員の姿を見ていると、中途半端な気持ちの私がこのまま部に居続けていいのかと悶々とした思いになってきました。そんな時、チームの仲間たちが私にマネージャーという肩書きを与えてくれました。
 主な仕事内容は紅白戦での記録(全体の得点、各人の得点、ファールの数等)を付けることです。そして、その記録は数か月ごとにデータとしてまとめられます。
 大会が近付いたある日、このデータはレギュラー選抜や、戦術構成に使うだけでなく、現役レギュラーの入部時記録を見せ、うまくいかず悩んでいるバスケ初心者を励ます効果もあるのだと聞きました。私も部員として役立っているのだと改めて実感し、また、マネージャーとして新しい居場所を作ってくれたことにとても感謝する思いでした。
 年に一度、2日間程度の日程で遠征試合に参加します。私たちにとって団体での旅行は多くの介助者を必要とし、一般の方が思う以上に大変で機会の少ないことです。だからこそ、他のチームと試合をするという新鮮さとは別に、いつもとは違う格別に楽しい時を仲間たちと味わうことができるのです。
 マネージャーを始めて約1年半。部の中でも比較的重い障害をもつ私はマネージャーとしての仕事の多くを行えず、練習で疲れた部員に何もしてあげられない自分が歯痒くなることもあるのですが、できないことを補いあい、助け合うこと、支えあう気持ちが大切なのだということもここで学べたような気がします。試合に勝って歓びと達成感いっぱいの選手の顔も、負けた悔しさをバネに練習に励む選手の顔も、同じくらい私に感動と歓び、そして力を与えてくれるのです。
 運動に自信のない人、先輩の方や女の子などにもツインバスケに興味を持ってもらい、一人でも多くの人に心地よく参加してもらうことが今の私の希望です。

(いがらしえり 国立別府重度障害者センター入所者)