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私と障害ボランティア

小西正信

 私が、ボランティア活動を始めたきっかけは、中学卒業と同時に、昼間、国立身体障害者リハビリテーションセンターでスポーツ訓練を行いながら、夜学に通っていたときのことです。訓練を受けた運動療法の先生から、5月のゴールデンウィークに全国車椅子バスケットボール日本選手権大会があるから手伝いに来ないかと誘われたのです。以後19年間、毎年泊まりがけでボランティアに参加しています。最初の2年は、選手の皆さんの送迎バスの添乗員でした。その後1年は、選手やボランティアの宿泊担当、以降16年間、駐車場係として選手のバスや車及び観客の車を駐車場へ誘導したり、2年おきに、皇族の方々が試合を観戦しに来られるときの警視庁及び報道関係の車の駐車スペースの確保を担当しています。
 駐車場係として苦労することは、毎年、大会期間中に雨が降ると濡れながら業務をしなければならないことや、明治公園近辺には国立競技場や神宮球場などがあり、車椅子バスケットを観にきた車なのか確認しなければならないこと、また大会終了後に、駐車場から車を一台残らず出さないといけないことです。
 現在、私は、駐車場係の総責任者を任されており、私のほかに、20人前後の大学生のボランティアサークルの人たちと共に、24時間体制で駐車場管理を行っています。試合の最中は、学生さんに車の誘導や、敷地内での車の停車位置などの指定を指示しています。また、駐車場係は、選手とのコミュニケーションをとる機会が少ないので、学生さんには送迎バスの添乗を体験してもらい、選手とコミュニケーションを図れるようにもしています。
 その他、車椅子バスケット以外に私は、学生の頃に、訓練をしていたリハセンターの子どもたちを水泳大会や陸上競技大会に出場させるための練習を手伝っています。子どもたちの中には県大会や全国大会、パラリンピックへと出場する方もいて大変喜ばれています。また、私が、就職(現都職員)してからは毎年、障害のある人と夏はキャンプ・冬はスキーと泊まりがけで行っています。
 最後にボランティアに参加する姿勢について希望したいことがあります。最近、大学や専門学校でボランティア活動をすることで単位が取得できるということを聞きますが、単位取得のためでなく、あくまでも自主的に参加してもらいたいと思っています。自分の余裕を何かに、だれかに役立ててもらいたいからです。この気持ちを持って参加すれば、ボランティアを通した体験がより自分の生き方に生かせられると信じています。また、ボランティアは、何から何まですべて手助けをするのではありません。本人のレベルを見極め、まず本人自身にやらせてどうしてもできないことだけを手助けするのがボランティアだと思います。
 一般社会では他人が何でもやってくれるとは限らないので、自分でできる範囲は自分でやるような訓練を積まないと、将来通用しない恐れがあると思うのです。
 来年の4月には、ボランティア活動を始めて20年目になりますが、身体が続く限り、この活動を続けて行き、より多くの障害者のために何かの役立つように支援していきたいと思います。

(こにしまさのぶ 東京都職員)