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ワークショップ・セッションD
「公共交通へのアクセス」

高橋元

 私は、ワークショップ・セッションDの「公共交通へのアクセス」の分科会に参加した。座長は、白髭のジェームス・ハリソン博士と生き生きとした明るい笑顔の今大会の委員長、ジュディー・ウィーさんの2人が交代で担当した。演者は4人。最初の演者は、ラーマン・タリブさん。彼女は交通省の役人だが、技術者ではないという。地下鉄の北東線(NE)の設計・建設について話された。私が翌日参加した施設見学では、シンガポールの公共交通事情を体験した。実際にNE線の駅を見たり乗車したが、これだけでもう今大会に参加してよかったと思った。エレベーターはホームの中央のわかりやすい場所にあり、車いす用の改札口は広すぎるくらいであった。しかし、視覚障害者用の点字ブロックの色が黒であった。なぜ黒いのか疑問が残っている。NE線建設の経験から、既存の2地下鉄の改修を現在、4駅で行っており、「シンガポールを変えよう」という運動になっているという。
 2人目は、チエン・ファットさん。シンガポールの最近の公共建築について話された。以前は、4階以下の建物はエレベーターを設置しなくてもよかったが、2002年の条例改定では許可されなくなった。これは香港やカナダを参考にしたという。日本が参考にならなかったのは残念である。3人目は、台湾のロバート・リンさん。キャンピング場や音楽庭園等の文化授産施設「障害者の里」の建設についてスライドを使い発表した。4人目は、香港のジョセフ・クワンさん。世界のアクセシブルな施設をスライドを使って発表していた。イギリスの例だったと思うが、長く広い階段にW形のスロープをつけていたのが印象に残る。
 今回の大会では、中国本土からの参加者が少ないのと対照的に、近いとはいえ、ベトナムからの参加者が多いのが目を引いた。
 シンガポールの2地下鉄の改修が終わった頃、また訪れてみたい。

(たかはしげん  歯科医、宮城県在住)