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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年1月号

みんなのスポーツ

障害者スキーに参加して

田島隆子

私は、小さい頃から両下肢障害でスキーなど生涯縁がないと思い込んでいましたが、平成14年4月、いつも利用している東京都多摩障害者スポーツセンターの指導員の方に誘われ、同じ障害の主人と2泊3日のスキー教室に参加しました。

斑尾高原ホテルに着くと、早速自分に合ったスキー用具選びからです。チェアー、ブーツ、アウトリガーなど障害に応じたサイズを選びますが、主人はすぐに自分にあったものが見つかりましたが、私はなかなか見つかりません。とりあえず一番身体にあったものを選び準備OK。明日は本当に滑れるのかと、不安と期待でなかなか寝付けませんでした。

翌日はあいにくの小雨のなか、開校式が行われました。はるばるアメリカから障害者スキー専門の指導者ハルさんがいらしていました。

私には3人のコーチが付いて初心者コースに挑戦です。恐る恐るチェアーに乗り入れましたが、お尻がなかなかフィットしないためクッションや毛布などを詰め込んで何とか固定し、次はアウトリガーの取り扱いです。何とこのアウトリガーの操作が難しいのなんの、とても苦労しました。ガッと地面に突き立てて前進、回転できるはずなのに動かない…。後ろでコーチが支えて押してくれたりして少しずつですが滑れるようになり、うれしくなって気がつくと夢中になっていました。次に緩い斜面に行き、転び方や止まり方を習いました。転ぶと自分一人では起き上がれません。3人がかりで起こしてもらいましたが、これも難しい。

その頃、隣で一緒に教わっていた主人は、何ともう初心者コースをクリアしてリフトに乗って中級コースで滑っていたのです。もうびっくりです。私はコーチがチェアーにロープを結び、後ろで支えてもらいながらも1人で滑っているような錯覚を覚え、ついスピードを出しすぎてコーチから手綱でブレーキをかけられて注意されたり、誉められたりしているうちに固くなっていた身体も力が抜けて、顔に当たる冷たい風も感じるようになり安定して滑れるようになりました。夢のようでした。

コーチに助けてもらいながらリフトにも乗り、自分が滑ったゲレンデを眺めたときの感動、喜びは今でも思い出すと胸が熱くなります。また、スポーツセンターのスキー教室があったら、ぜひ参加して大いに滑ろうと今から楽しみにしています。

(たじまたかこ 東京都町田市在住)