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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号

こんなものがあるといいナ ~ユーザーの声

意思伝達装置は無くてはならないもの

荒井智治

私の病気は筋萎縮性側索硬化症(ALS)です。病状の進行に伴って全身の筋力が低下し、運動、コミュニケーション、嚥下(えんか)、呼吸等の重要な機能が冒され、日常生活動作能力の著しい障害、生命生活の質の低下を来す病気です。私の場合は2000年頃に右足から発症し、その後、嚥下、呼吸機能も低下し2003年2月に胃瘻増設、4月に気管切開、5月には人工呼吸器を着けました。現在は首から上と左手がわずかに動きます。

そんな私の日常はたまに車いすで散歩する以外はベッドで1日を過ごしますが、テレビを見たり、好きな映画や音楽を鑑賞したり、インターネットなどをして楽しんでいます。そのために無くてはならないのが意思伝達装置(パソコン)です。

私が使用している意思伝達装置は、ノートパソコンに上肢障害者向けWindows操作支援ソフトであるNEC製オペレートナビEXをインストールし、これに特殊スイッチを接続し、わずかに動く左手でパソコンを操作しています。このソフトは、一つのスイッチ操作によって、パソコン画面上に表示したオンスクリーンキーボードから文字を選択し入力できます。オンスクリーンキーボードはかな、英数字、記号等の文字入力用や、Internet Explorer、Outlook Express等のアプリケーションの操作キーを登録したオンスクリーンキーボードを用意しています。基本機能は、文の読み上げ機能を利用して、あらかじめ登録された語句や入力された文をパソコンで発声することができます。

この「オペレートナビ」の一番使いやすいところは、オンスクリーンキーボードがグループ単位でスキャンできるので選択がしやすい点です。そして、利用者自身が1スイッチでオンスクリーンキーボードの操作で設定や編集、作成ができることが、この製品の特徴で良いところです。これによりアプリケーションを使いやすくすることができます。ここで私の使用しているパソコンの周辺機器を少し紹介します。

  • ピエゾニューマティックセンサースイッチ:パソコン入力用スイッチでセンサーがわずかに動く指を感知します。動く力に合わせて感度の調整をします。
  • クロッサム2+USB:学習機能搭載リモコンでパソコンにUSB接続してテレビ、ビデオ、DVDプレーヤーなどを操作します。
  • ネットワークカメラ:無線LANで接続したパソコンから家の様子や外の景色を見ることができます。
  • PCメモ(ラベル)プリンタ:CDやDVDのラベル作成、ちょっとしたメモ書きに使用でき、便利です。

同じような障害をもつ人はぜひ利用していただきたいと思います。

写真

(あらいともじ 東京都在住)