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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●住まい●

提案:高橋秀子 イラスト:はんだみちこ

先月号に引き続いて、今月は住まい編です。「住環境」は、生活の中でも重要な位置を占めます。自分でホッとくつろげる空間でもあるので、自分の生活にあった快適な暮らしをするための工夫がいっぱいです。賃貸住宅の場合、壁に釘などを打ち付けることができないなどリフォームするにも制限があります。限られた条件の中で使いやすくするために行っている私の工夫を紹介します。


部屋選びのポイント

リウマチは寒さと湿気が大敵なので、暖かさと風通しが良いことを前提に集合住宅を探しました。

車いすを使っているというと1階が便利では?と言われますが、1階は底冷えがするし、湿気もたまります。私は都心では日当たりのことを考えて3階以上の部屋を探して住んできました。災害時のことを考えて、部屋は道路に面してベランダや窓があること。ただし、階は高過ぎず、はしご車が届く高さまでとしています。

また、道路からエレベータまで段差がないことは基本ですね。

また集合住宅の場合は開放廊下が多いですが、ドア1枚隔てて外ですとやはり寒いし、また、風の強い日はドアが開けにくかったり、雨の日も風の向きによって廊下で雨に濡れる場合もあります。このようなことを考え開放廊下の建物は避けてきました。開放廊下でないところは、各階の住居数が少ないところが多く、防犯上も比較的安心です。


トイレにカウンター型のてすり

普通、トイレは便器正面にドアがあり、幅が狭いので車いすから便座への移動が直接できません。私の場合は、便座昇降機・カウンター型てすり・縦てすりを設置して使えるようにしました。移動の方法ですが、トイレ入り口のところまで車いすで移動し、車いすの座面を上げて立ち姿勢をとりやすくします。カウンター上のてすりにつかまって立ち上がり、そこで向きを変えて便座に座ります。終わったら、便座昇降機を使い立ち上がり、ドア内側の縦てすりを使って向きを変えて車いすに腰を下ろし座面を下げます。

カウンター型のてすりは、収納も兼ね両腕をカウンターに乗せて移動できるので、私のように握力のない人にとっては便利です。製作費もそんなに高くありません。(カウンター型てすりは「棚てすり」というリフォーム用の既製品もあります。一般的な方にも飾り棚として使えるものです。撤去修復しなくてもよい方向で大家さんの了解をいただき、いろいろな入居者にも使いやすいリフォームをすることがポイントです。)


ソファもテーブルもラクラク移動

通常のソファは座面が低く沈み込むものが多いので、固めのソファベッドを購入しました。しかし私には座面高さが合いません。そこで、大工さんにストッパー付きの大型キャスターを付けた板を作っていただき、その上にソファーを置いて高さを補いました。力を入れずに動かしやすくなったので、便利棒を使ってソファーの位置を変えることもできますし、ヘルパーさんが動かし隅々まで掃除ができるので便利です。

いつもはソファとして使っていますが、友人が泊まりに来たときは、ベッドに早変わりします。ソファーのほかに、テーブルの足の部分にもキャスターを付けて、こちらも簡単に動かすことができるようにしています。