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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年5月号

見えてきた課題

本人のニーズに対応してほしい

袖山啓子

◆申請の手続き

支援費制度が始まったと言われても、児童は申請しても使えないらしいといった噂に振り回されて、ようやく申請に行ったのは昨年の夏を迎える頃のことでした。実際に申請を受け付ける所は2か所で、短期入所は児童相談所、居宅介護は福祉保健センターへ出向いて、子どもの様子等を含めて2回説明します。そして、居宅介護支援費手帳と支援費管理表という二つの小冊子及び支援費支給証が、それぞれから送付されてきます。そのため短期と居宅を別々に管理表に記入し、上限枠もそれぞれに設けられていると誤解していました。申請はぜひ1か所で済むようにしていただきたいと思います。

◆わかってきた問題点

まず児童の移動介護に関してですが、利用は保護者が社会的理由により付き添えない場合に限られています。高校生になった本人がいつも親と一緒ということの不自然さを考えてほしいと思います。保護者の理由だけではなく、本人の必要に対応していただきたいところです。また夏のプール外出(一緒に水に入る)に利用できないのも、親の年齢が上がるにつれて辛くなってきます。

次に知的の児童に対応する事業者が少なく、ほとんど選択の余地が無いことがあげられます。数少ない事業者に利用が集中してしまい、新規登録できない状況になっているようです。

さらに何とか登録をしても、男性ヘルパーが少ない現実につきあたります。障害が重いほどトイレ介助等を含めた同性の支援が必要ですが、その必要に応えていただけない場合が多くなります。

最後に、経験があって長期にお願いできるヘルパーの不足があげられます。本人がヘルパーを認識して慣れる、またヘルパーが本人の動きをつかんで適切に対応できるようになるには、ある程度の時間が必要ですが、ヘルパー職を長く続けられる方が少ないのか、すでに数少ない男性ヘルパーの退職を二度経験しました。

◆今後に向けて

短期入所は2か月前、居宅介護も前月までの申し込みが原則となっています。事業者が成り立っていくことと、緊急時に対応できる(すぐ対応できるヘルパーがいる、空いているベッドがある)ということは、相反することかもしれません。この部分に関しては、措置的な要素を含めてもう一度検討する必要があると思います。

措置から契約への考え方は素晴らしいものです。支援費制度が地域生活のための生きたサービス提供につながることを願っています。

(そでやまけいこ 横浜市障害児を守る連絡協議会)