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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年11月号

1000字提言

障害者支援センターの役割とは

松坂優

支援費制度が始まり、障害のある人や家族が、「私だって」「わが子ももしかしたら」と、入所施設ではなく地域の中で、支援費をはじめとしたサービスを使いながら、地域生活を実現できるのではという期待を少しだけもてるようになってきた。

一方で、父母が要介護状態になり障害のあるわが子を介護できなくなってから、初めて障害者支援センターが支援に入る例もいまだに多く、家族介護が大前提にあって、ごく一部を公的なサービスが補完している完成途上の地域生活支援の現実もある。

北海道千歳市は人口約9万人の新千歳空港と支笏湖のあるまちだ。障害のある子どもさんの通学先は、市内小中学校の通常学級や特殊学級、市外の障害種別ごとの養護学校(片道1時間も1時間半もかかり、寄宿舎に入る人もいる)と、ばらばらになってしまう。高校に進学すると、寄宿舎に入る人もさらに増え、遠隔地にある高等養護学校(片道4時間かかるところもある)に入り、金曜日の夕方に学校の寄宿舎に家族が迎えに行き、日曜日の夕方に再び寄宿舎まで送迎する生活が毎週続く。積雪期を迎え、送迎はなおさら大変になってくる。

今、市教育委員会、市内の各学校、市療育センター等と合同で、一貫した相談体制の整備に向けてのネットワークづくりをすすめており、来年度に向けて、幼少期から卒業時に至るまでの保護者管理による相談ファイルの作成も検討されている。

学校を卒業して千歳に戻って来られたときに、安心して地域生活をおくることができるよう地域の受け皿づくりを学齢期の早いうちからご本人、家族とともに考えていくことももっと必要だ。もちろん、身近な地元の学校にもっと通えるようになることが本来望まれるところであるが。

そのようななかで、特殊学級に通う小学校1年の保護者が中心になり、支援センターも応援しながら、自主的な放課後の場づくりをすすめる動きも出てきて心強く感じている。

現状の支援センターは、概して問題発生対応型のケースが多いが、一人ひとりともっとじっくりと向き合い、共に考え行動しながら、ご本人が希望される暮らしの実現に向け、ささやかながら息の長い支援ができるように心がけていきたい。

(まつさかゆたか 千歳市障害者総合支援センター)