「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年11月号
工夫いろいろエンジョイライフ
実用編 ●子どもの服の脱ぎ着、他●
提案:鈴木みゆき イラスト:はんだみちこ
鈴木みゆき(すずきみゆき)さん
19歳のとき、頚髄7番に血腫ができ受傷。上・下肢機能全廃。現在、3歳になる息子と夫と3人暮らし。福島県船引町の「福祉のまちづくりの会」に所属し、さまざまな活動をしている。
子どもの服の脱ぎ着は、ボタン掛けを使えば楽にできます
私は手の力がないので、細かい作業ができません。子ども服は、できるだけボタンの少ないものを選んでいますが、必要に応じてボタンがついていても着せたいものがあります。たとえば、パジャマは子どもが動いてもはだけないよう、ボタンがついたものを選んでいます。上着などもそうです。そんな時、ボタン掛けの「ゆびじょ」(市販)が大活躍です。「ゆびじょ」は大きさが15センチくらいのもので、大中小のどのボタンもかけられるため、子ども服から大人の服まで使うことができます。それに握る部分が輪になっているので、私はそこに指をひっかけることができて、とても使いやすいです。
普段、子どもの服の脱ぎ着は、朝はヘルパーさんと夫が主にやりますが、日中や夜のお風呂上がりは子どもとのコミュニケーションをとるため、私が行っています。他の人がやるより時間はかかりますが、私と子どもの大切な時間です。
車いすから楽に降りる工夫
1日1回、夜の時間は私と息子のふれあいの時間です。車いすから降りて子どもと同じ目線で、床や畳の上で遊んだり、私のお腹の上に乗ってバイクに乗るまねをしたり、子どもも大喜びです。
車いすからは、腕の力だけで降りることができますが、降りる時に足元がつっかえたりしてうまく降りられないことがあります。
私の工夫は、ゴミ袋を足元に置いてその上を滑るように降りることです。まず、床の上にごみ袋を置いて、片足ずつフットレストから足をはずします。体勢を整えて、右手のほうに高さ40センチくらいの台に右手を乗せて、左手は車いすのブレーキのあたりに置きます。体を少しずつ前のほうに移動させると体がフットレストに落ちます。その時フットレストがクッション代わりになります。その状態から両手を前に出してゆっくり身を乗り出すようにすると両足がピンと伸びて、床に下りることができます。
子どもと遊ぶ時は、床や畳に布団を敷いています。いつでも横になれるし、じょくそう予防にもなるからです。
車いすに戻るときは、夫やヘルパーさんに抱えてもらっています。
車に移乗するときの工夫
私の車にはトランスファーボードが付いていません。何かいいものはないかと、いろいろ試しました。以前使っていたお風呂のいすを試しに置いてみたら、座席との隙間にうまく入りました。高さも幅もぴったりでずっと愛用しています。
いつもは、運転座席に置いています。車に乗る時は、座席からいすを取りだします。その時、いすの中央に空いている穴に手を引っ掛けるとフック代わりになり便利です。運転中は助手席にいすをおきますが、助手席に人が乗るときは、後部座席に置いたりします。
私が愛用しているこのいすは、一昔前のもので長四角の形をしているものです。現在は、丸型が多いので、長四角のいすを探すのに時間がかかるかもしれません。たまたま私はお風呂のいすでしたが、結構身近に思いがけずぴったりのものがあるかもしれません。ちょっと見回してみてください。