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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年2月号

1000字提言

視覚障害者の就労(2)

中村幹夫

2000年4月の介護保険制度実施を前に、1998年10月から介護支援専門員(ケアマネジャー)の実務研修受講試験が始まった。5年(900日)以上の経験を有するあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師にも、その受験資格が与えられるとともに、視覚障害者に対する点字受験者1.5倍、弱視等受験者1.3倍の時間延長を含む点字、拡大文字による試験も実施されている。

2004年10月に実施された第7回試験までの合格者33万7296人の内、4655人(1.4%)のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が含まれており、第7回の試験でも580人が合格している。視覚障害者の合格者数、合格率についての統計はないが、おそらく300人程度の有資格者が生まれているものと思われる。

こうして、視覚障害者の新たな職種として期待されたケアマネジャーの仕事であるが、(1)一人で居宅訪問するのが難しい(認定調査、ケアプラン作成時のアセスメント、月1回の居宅訪問、3か月に1回のモニタリング、プラン変更時の担当者会議の招集・運営)、(2)皆無に近い行政情報、サービス情報に関する点字資料、電子情報の少なさ、(3)記録が重視され、書類作成が大変、(4)ケアプラン作成用ソフトが音声に対応していないなど、職務遂行上の困難点を抱えている。

2001年7月、日本障害者雇用促進協会は、多くの視覚障害者が介護支援専門員の資格を取得しながら、事業主への周知不足のために雇用が進んでいない実態を改善するために、障害者雇用マニュアル「視覚障害者と働く … 視覚障害のある介護支援専門員の雇用促進のために」(コミック版1)というカラーのA4判パンフレットを作成した。しかし、基準省令におけるケアマネジャー業務の厳正化も進み、視覚障害者の雇用は、ますます難しくなってきている。

視覚障害ケアマネジャーが働く場としての労務形態は、およそ次の通りである。

  1. 居宅介護支援事業所で専任ケアマネジャーとして働く。
  2. デイサービスセンターで機能訓練指導員の業務に携わりながら、併設する居宅支援事業所でケアマネジャー業務を行う。
  3. 介護療養型医療施設や特別養護老人ホームの施設内マッサージ師が、施設利用者のケアマネジャー業務を兼務する。
  4. 治療院開業の傍ら、居宅介護支援事業所の非常勤職員として関わる。
  5. 居宅介護支援事業所を併設する複合型施術所の職員としてケアマネジャー業務を行う。

このような事業者の中には、医療保険による訪問マッサージ(療養費払い)を導入して成功している例もある。

(なかむらみきお (株)新世紀ケアサービス、介護支援専門員)