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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年3月号

1000字提言

障害者地域生活支援会議

松坂優

グランドデザイン案が示されたのが、昨年10月。それから半年弱のなかで、障害者自立支援法案が国会で議論されることになった。ようやく支援費制度が浸透しだした矢先に新制度への移行である。障害者総合支援センターにも、障害者自立支援法案について説明をしてほしいという依頼が当事者や家族から寄せられている。

あまりのピッチの速さで、考える時間もないし、ましてや情報が住民にまで届いていない。さらに、障害当事者向けの説明資料も十分ではない。

批判ばかりしても仕方ないし、どのようにわかりやすく説明していくのか。「国がまだ決めていないから」「国の動向を見極めながら検討します」といった国に責任を押し付ける姿勢だけでは通用しない現実もある。

ある障害児の親御さんが、「どのようにして自分のおもいを国に伝えればよいのですか」と尋ねてこられた。確かに、国に声を届けるのは難しいが、市町村の役割がいっそう重要になるなかで、自分のまちの障害者福祉をどうしていくか、広く住民を交えて議論することが大切である。その際、障害者総合支援センターの役割として、学習会や研修会に積極的に足を運び、当事者や家族に対して客観的な情報を伝えたり、解説をしていくことも重要な役割であると考えている。

また、めまぐるしく変わる国の動きを逐一把握して当事者や家族に伝えていくと同時に、制度に振り回されるだけではなく、どのように障がい者の地域生活を保障していくのかといった視点での確固たる理念を障害者総合支援センターや自治体が持つことも必要であると感じている。「徹底的に地域生活をサポートする」「自己決定を尊重する」といった視点を抑えておかないと、サービスの給付抑制のためだけのシステムや制度になりかねない。

このたび千歳市では、千歳市障害者地域生活支援会議を新たに設置した。市内の三障害に関わる40数団体により構成される、いわゆるサービス調整会議である。進路や居宅介護といった分科会もいくつか設けながら、具体的に地域生活を推進していくための核となる会議に育て上げていく予定である。千歳の特徴を生かしながら主体的に地域の福祉力が高まっていくことを期待している。

(まつさかゆたか 千歳市障害者総合支援センター)