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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年4月号

ユニバーサルデザインの広場

21世紀は障害者のノウハウが活かせる時代

今西正義

「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」という専門用語が社会一般で普通に使われるようになり、高齢者や障害者など「だれもが利用しやすい」という考え方は、身近な住宅や建物、街や乗り物、家庭製品などに積極的に取り入れられ、市民権を得たといえます。

障害がある人たちにとって、「住む」「動く」「働く」ということは、一般の人以上に確保するのは困難なことです。ここ数年、電車・バスなどの車両や駅のバリアフリー化が進み、以前のように人手による介助も不要となり、随分と楽になりました。電動車いすで毎日地下鉄を利用して通勤している身にとって、その変化を実感しているところです。こうした変化をもたらした背景には長年にわたる障害当事者による運動の結果があります。そして運動を通じて伝えてきたものは、「だれもが利用しやすい」とする考え方でした。

今までにも「すべての人が利用しやすい」とするユニバーサルデザインの考え方で開発が行われてきました。しかし、多くの場面で利用者の意見を聴く機会が少なかったり、また利用者からも「もっとこうあったら」という意見があっても、それぞれに解決する手段が見つからないなど問題が残されてきました。こうした問題が解決されなければ、いつまでたっても双方の溝は埋まらずニーズに合ったものはつくられないまま価格が製品に上乗せさせられるなど経済的、社会的にも損失は大きいとされます。

自立生活を築く中で、住宅探しや住宅改造、日常生活機器の取り入れなどで得た貴重な経験や体験は、これからの高齢社会の社会づくりに活かすことができます。特に、「物づくり」や「仕組みづくり」の過程に活かせば、ニーズの反映も可能になり、強いては開発に掛ける時間や資金の無駄を省くことができます。関わり方については「参加」ではなく「参画」として、自分の障害を超えて広く他の障害者の立場に立った意見や “経験”や“体験”を裏付ける社会的な背景説明など具体的な提案ができることです。このような人材こそ、これからの時代に求められるものといえます。「21世紀は障害者の持つノウハウが活かされる時代」、今後ますます、ユニバーサルデザインの視点が求められる中で新たな障害者の仕事の一つとして位置づけを広げていく必要があります。

(いまにしまさよし NPO法人トータル・アクセス・サポート・センター)