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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年4月号

ユニバーサルデザインの広場

私たちは 地域で暮らしたい
~街の中が使いやすくなってほしい~

「あすなろ」「さくら会」メンバー

知的障害は目に見えないので、少し話せたり、読めたりすると「なんでもできる」と思われる人と、だまっていると「なにもできない人」と思われることが多く困ることが多い。今回、本人の会である新潟県の「あすなろ」と東京都の「さくら会」のメンバーの何人かにどんな時に困るかを聞いてみたので、ここに紹介します。

  • 漢字が読めないと困ることが多い。書いてあることがわからないことがある。聞くと「あそこに書いてあります」と言われる。病院でも病名がわからないから、漢字にルビをつけてほしいと言ったらイヤな顔をされたとか、周りに人がいるのに「なんで読めないのですか?」と看護婦に言われたこともある。いちいち「知的障害があるから」というのもいやなことだと思う。
  • 文字として読めても、その意味がわからないこともある。理解の仕方が違うことをわかってほしい。
  • 自分で役所などに行こうとするときに地図を見るのだが、地図の見方がわからないとつらい(立体的な状況と平面に表したとき、その見方がわからない)。
  • レストランや居酒屋のメニューに写真つきのものが増えてきたのは、よいことだと思う。金額やカロリーも書いてあるところは行きやすい。
  • 携帯電話も便利だ。友達と連絡やメールができる、困ったときにすぐに聞けるので助かる。手帳で料金割引もできるようになったので、使いすぎに注意しようと思う。
  • 新しいことを覚えることは大変。職場などでも、失敗したくないから何回か確認のために聞くと「同じ事言わせるな。さっき言っただろう」と怒られる。
  • 福祉のことを養護学校でも教えてくれなかった。療育手帳や年金、福祉サービスの利用など、自分が知らないと困る。ゴミの出し方は近所の人に聞くことができるけど、福祉のことは聞けない。最近は支援センターになって相談も予約制になり困った時にすぐ相談できない。前は行きやすかったし、巡回もしてくれた。
  • グループホームでは寮母さんがなんでもやってくれたけど、一人暮らしや結婚をしたら、自分たちでやらないといけない。結婚したらなんでもできるようになるわけではないのに、役所の窓口では「二人でなんとかしなさい」と言われる。二人でできないこともある。
  • グループホームでも施設と同じ生活を繰り返してはダメ。住民への理解をつくり、私たちのプライバシーを考えてほしい。

このような彼らの主張や声が社会に反映されることが平等な参加を保障することにつながります。彼らが市民として生きるためにも機会均等を進めるユニバーサルデザインの広がりを願っています。