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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年7月号

1000字提言

ホットな気持ち

五位渕真美

歯磨きをしたいために、路上で叫んだことがありますか。

買い物に行きたいために、路上で訴えたことがありますか。

髪をとかしたいために、路上でアピールしたことがありますか。

ゴールデンウィーク明けから、障害をもつ仲間たちと自分たちの地域生活を守るために厚生労働省前・国会前などで抗議行動を連日続けている。思えば、ちょうど1年前、私がはじめて参加した全国抗議大行動からずっと続いている。

2003年4月から支援費制度が導入されたが、予想を上回る障害当事者の利用があり国が予算不足となった。そのことで、昨年10月に突如、厚生労働省が出してきた「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」がわずか3か月余りの議論で国会に上程され、「障害者自立支援法(案)」と名を変えて審議されている。名前だけは立派なものだが、その内容はとんでもないものであり、それが通ってしまったら20年くらい前の障害者サービスに逆戻りしてしまうのである。そうはならないよう抗議行動を続ける。

私は、東京で暮らし始めて1年になる。過ぎてみるとやはり早い。最近は仕事もいろいろとやりたいことが多くなって、自分の首を自分で絞めているような感じもするが、有意義なものである。介助者の方を入れた生活にも慣れて、自分らしいライフスタイルを崩さなくなってきた。東京でのシングルライフ、私なりに楽しんでいる。

それは、障害当事者の先輩たちが声を上げ、一つひとつ権利を勝ち取って「自立(その人らしい生活)」を確立してきたおかげである。それでもまだ「自分のことは自分で決める」そんな当たり前のことが分からない国に、私たちは「私たちのことを私たち抜きに決めないでください」と何度もアピールする。未熟な日本を育てていくのは私たち当事者しかいない。医師や知識者などの専門家が私たち当事者の生活を決めていくのはもう限界にきているのではないだろうかと私は思う。そういう国の姿勢には危機感さえ覚える。

私は自分を「アツイ人間」とは決して思わないが、最後に言わせていただきたい。布団に寝るにも、水を飲むにも、トイレに行くにも必要な介助にお金を払え! ということはどういうことか。所得の少ない、あるいは年金以外皆無の人たちから、日常の生活を送るだけでお金を取るという、何と恐ろしい考えをしたのだろうと思ってしまう。加えて、その介助の内容・時間さえ他人に決められる始末である。他にもまだまだあるが、実に貧しい法案である。

障害をもつ人すべての権利を大切にする法律となるように、そして「自分たちの人生」を守るために、炎天下であろうが暴風雨であろうが、多くの仲間と一緒に声を上げていく国会前へ明日も行こう!

(ごいぶちまみ スタジオIL文京)