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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年7月号

1000字提言

圏域障害者総合相談支援センター

松坂優

北海道では、14の圏域(支庁)単位で三障がいに対応した圏域障害者総合相談支援センター(以下、圏域センター)の設置が民間委託により進められている。社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を持つ障がい者の相談支援にかかわった実績のある職員2名が専任で配置され、圏域の連絡調整会議の開催、市町村に対する相談支援のスーパーバイズや体制整備のバックアップを行う。

5月から各支庁で、事業の実施を希望する複数の事業者を対象にプロポーザル方式による選考が実施され、7月より順次事業が始まりだした。受託法人の種類は社会福祉法人、NPO法人、医療法人、社会福祉事業団とさまざま。母体となった法人がこれまで取り組んできた事業も障がい種別も多様だ。

私どもの法人では、石狩圏域の障害者総合相談支援センターの業務を受託することになった。法人内の一組織でありつつも、法人内のサービス提供部門とは一線を画して独立性を保ちながら、どちらかといえば所属法人が異なる14の圏域センターの職員同士で、互いに情報交換したり知恵を出し合いながら、相談支援の体制づくりができればと期待している。

厚労省では相談支援体制の整備は今後、市町村をベースとして考えられてはいるが、北海道は市町村合併による再編がすすんでも約180の市町村が残る。圏域センターのあり方は都道府県の規模によっても異なるであろうが、いずれにしても、市町村の応援部隊としての都道府県の役割は重要だ。

さらに、これまで障がい者施設のなかでは、社会福祉士等の資格はあまり重要視されない傾向もあった。それよりも大型免許を持っているほうが歓迎される実態も一部にはあった。しかし、今回、圏域センターの職員資格要件において、社会福祉士等の資格が明記されたことで、ようやく資格を活かせる職場が増えてきたと感じている。ただ一方で、障がい者の地域生活を推進するうえでは、ケアワークもできるソーシャルワーカーであってほしいし、さらに市町村を耕すコミュニティーワークのできるソーシャルワーカーという視点も失わないでほしいと願っている。

(まつさかゆたか 特定非営利活動法人わーかーびぃー)