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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年9月号

提言

交通BF法制定から5年を経過しての東海地区の状況

平山晶士

東海地区で交通バリアフリー(以下、「交通BF」と略す)に向けて運動を展開している平山です。肢体不自由(車いす使用者)から見た東海地区の状況をお伝えします。

成果

交通BF法が制定されてから5年が経過し、東海地区においてもBF化は進んでいます。まず、今年の2月に開港した中部国際空港では、障害当事者の声を聞き入れ、だれもが使いやすい空港となったことが、1番の成果と言えます。それが、転じて「愛・地球博」において設計段階から障害当事者の声を取り入れてだれでも楽しめるようになっています。空港や「愛・地球博」の影響を受けて、名古屋駅及び金山駅が交通BF法の重点整備地区に指定され、僕たちが長年にわたり言い続けてきたBF化が図られました。

また、名鉄の対応が変わりました。3、4年前では無人駅やBF設備がない駅に関しては、車いす使用者が乗車拒否をされ続けました。それが、僕たちの働きかけもあって今では「前日予約」の条件付きですが乗車可能となりました。同時に、案内の充実や駅員の対応が良くなったことなど、名鉄のBFに対する意識の変化は目を見張るものがあります。他にも、名古屋市バスが「新規導入のバスに関しては、すべてノンステップバスにする」と明言しているなど、BF化が進みつつあります。

問題点

一方、基本構想策定では全国的に見て、策定数が少ない状況にあります。愛知県においては万博に関連した市が策定しているところがほとんどです。三重県・静岡県も2~4か所です。岐阜県は東海地区でも策定している自治体が多く、8か所です。これは市町村合併や福祉のまちづくり条例などが影響している関係であると思います。

問題も多くあります。一例をあげると、大手私鉄系のバス会社は、ノンステップバス及びスロープ付きワンステップバスは普及しつつありますが、バス停などの時刻表に書いていないため、バスが走っているにも関わらず車いす使用者が「乗れない」状況があります。その他、ハンドル電動車いす使用者の乗車拒否、BF設備がない駅の対応・利用者の声を無視した職員の都合による対応など…交通BF法が制定されても、車いす使用者が当たり前に交通機関を利用するには問題が多いです。

終わりに

東海地区はまちづくり活動が活発なところですが、「移動」という視点と「障害者に対する意識」が抜け落ちている面があると思います。問題点であげた事例は「ただバス車両がBFであればよい」という発想だけで「障害者が移動する」という視点が欠けています。さらに障害者が「乗客」と見られていなく、「障害者」を特別視している事例です。

交通機関のバリアフリー及び交通機関に関わっている職員、さらに一般市民の中にある障害者に対する意識を変えていくことが必要です。

(ひらやまあきひと 愛知県重度障害者の生活をよくする会)