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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年9月号

自治体などの取り組み

荒川区コミュニティバス「さくら」

小泉文弘

今年4月20日に運行を開始した荒川区コミュニティバス「さくら」を紹介します。

「さくら」は、平成16年6月、新規バス路線の誘致を企画提案方式で募集し、応募のあったバス事業者の中から、京成バス株式会社と平成16年12月運行に関する協定を締結し、平成17年4月20日に運行を開始しました。

「さくら」の名称については区報で愛称名を公募し、171件の応募作品の中から、区の木として親しまれているだけではなく、「しだれざくらの里」など区民による植樹や祭りなどさまざまな活動が展開されており、区のイメージづくりにふさわしいことから選定され、この愛称名にちなみ、さくらの花をあしらったボディーデザインを採用しています。

「さくら」の名付け親となった2人の方は開業記念式典に参加し、西川区長、京成バス株式会社の小田社長らとともにテープカットを行いました。名付け親の方からは「区民に親しまれているサクラの木のように、このコミュニティバスも親しまれてほしいとの願いから応募した」と伺っています。

だれもが利用しやすいバスへの取り組み

平成13年度に「日暮里駅周辺地区交通バリアフリー基本構想」の策定にあたり、区と協働での策定作業にご協力をいただいた「NPO法人あふネット」から、「だれもが使いやすい荒川区コミュニティバスに向けた提案」が荒川区と京成バス株式会社に提案されました。

これを受けて、あふネットが開催していたセミナーの場をお借りして、バス利用者、バス事業者の方と一緒に「利用しやすいバス」とするための意見交換を数回行い、その内容は、ガードパイプ切り開きなどのバス停留所の整備や車いす乗降のためのスロープ板など、装備に反映されています。

また、運行開始に先立つ4月16日、あふネットの呼びかけと京成バス株式会社の協力により、「さくら」体験乗車&バス事業者との交流会が行われました。

これは、地域の車いす利用者や視覚障害者の方々にあらかじめバスに触れていただくとともに、担当乗務員にも実際に障害者の意見を聞きながら介助の体験などをしてもらう試みで企画されました。参加されたあふネットの会員のみでなく、担当乗務員や京成バス関係者からも、実際の運行開始前に貴重な体験ができたと評価されています。

あふネットは、都電のバリアフリー化を図るための停留所の嵩上げに尽力するなど、バリアフリーへの積極的な取り組みを行っているNPO法人で、今回も貴重なご意見をいただきましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。

利用者同士のコミュニケーション!?

8月8日には、バス利用者参加型のバスロケーションシステムも稼動しました。

これは、バス利用者同士がバスの接近を知らせるという、日本で初めての「お客様参加型バスロケーションシステム」で、バス停のボタンを押すと、次のバス停で待っている方にバスの接近を知らせる仕組みです。

運行している京成バス株式会社が、コミュニティバスの「コミュニティ(共有・共同)」の精神に基づき、地域や利用者の協力により、より使いやすい、より地域に密着したコミュニティバスにしていきたいということから考案したシステムです。

「えっ、お客様参加型バスロケーションシステムってどういうこと?」と思ったあなた、ぜひ一度利用されてはいかがですか。

最後にバス路線の誘致並びに運行にあたり、ご協力、ご尽力いただいた関係者の皆様にお礼を申し上げます。

(こいずみふみひろ 荒川区都市整備部都市計画課施設計画担当係長)


「さくら」の概要
事業目的:
1.区内の交通利便性の向上
2.交通弱者(高齢者、障害者等)の交通移動手段の確保
3.自家用車使用の抑制や放置自転車の抑制など環境対策の推進
運行方式:京成バス株式会社による自主運行方式
区の支援:車両購入費の一部補助、バス停設置に係る道路環境整備、区報やホームページによるPRなど
運行経路:約6kmの循環ルート、停留所数15か所
運行本数:1日58便運行、15分間隔
料金:大人150円、小人80円均一料金