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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年12月号

障害者自立支援法の成立と今後の障害保健福祉施策

障害者自立支援法について

厚生労働省障害保健福祉部企画課

障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度の下で一元的に提供する仕組み「障害者自立支援法」を創設いたしました。自立支援給付の対象者、内容、手続き等、地域生活支援事業、サービスの整備のための計画の作成、費用の負担等を定めています。

●障害者自立支援法による改革のねらい

○障害者施策の現状と改革の背景

わが国の障害保健福祉施策においては、障害種別ごとの法律等に基づいてサービスが提供されていて、制度的にさまざなな不整合があります。また、全国共通の利用のルールはなく、地域における基盤整備の状況やサービス提供体制が異なっているのが現状であり、そのため、障害種別や地域ごとにサービス利用に大きな格差が生じています。

平成15年4月には、従来の措置制度から、利用者が自らサービスを選択する支援費制度へと移行し、これによって、一定のサービス提供体制の整備が図られるとともに、新たな利用者が急増してきました。

しかし、精神障害者はこの支援費制度の対象となっていないことや、全体のサービス利用が増大する中、さらに増加する新規利用者への対応が不可欠となっています。

さらに、障害種別ごとの制度になっていること、また、施設等については、その期待される役割や対象者などにより、種別等が細分化されていることなどから、せっかく身近な地域にサービス基盤があっても、必ずしも利用者のニーズに的確に対応したものとはなっていないというのも現状です。たとえば、働く意欲があるにもかかわらず、適切な訓練を受けることができないために、企業等で働けないまま過ごしているといった方々も少なからず存在するという実態があります。

これらのことから、障害者施策の改革は急務の課題であるため、厚生労働省では、平成16年10月に「改革のグランドデザイン(案)」を公表し、その後、グランドデザイン(案)を具体化するため「障害者自立支援法案」を通常国会へ提出し、法案は平成17年10月末、特別国会において可決・成立されました。

●概要

1 障害者の福祉サービスを「一元化」

サービス提供主体を市町村に一元化。障害の種類(身体障害、知的障害、精神障害)にかかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供します。

2 障害者がもっと「働ける社会」に

一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう、福祉側から支援します。

3 地域の限られた社会資源を活用できるよう「規制緩和」

市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスが利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制を緩和します。

4 公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」

支援の必要度合いに応じてサービスが公平に利用できるよう、利用に関する手続きや基準を透明化、明確化します。

5 増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化

  1. 利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」
    障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者負担(上限1割)を求める。この場合、適切な経過措置を設けます。
  2. 国の「財政責任の明確化」
    福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改めます。

6 その他

○附則において利用者負担を含む経過措置を設けています。
○附則において精神保健福祉法をはじめとする関係法律について所要の改正を行います。

7 施行期日

○新たな利用手続き、国等の負担(義務的負担化)に関する事項、利用者負担の見直しに関する事項等については平成18年4月
○新たな施設・事業体系への移行に関する事項等については平成18年10月

(*次頁より障害者自立支援法の概要を資料(1~8)として紹介します。さらに10月13日参議院厚生労働委員会での附帯決議も掲載しました。)