音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年2月号

私のIT活用

音声パソコンでインターネット

川田隆一

○銀行も買い物もインターネットで!

全盲の私が、音声パソコンでインターネットを始めて5年になる。

きっかけは、クレジットカードの明細書を自分で確認するためだ。それまでは、毎月目が見える友人に読み上げてもらっていたが、ホームページで明細を確認できると知り、「音声パソコンでやってみよう!」と飛び付いた。

これを機に、私の情報環境、いや生活の質が大きく変わった。

次はネットバンキングだ。銀行のATMはタッチセンサー式で、私には操作できない。視覚障害者用の機種でも、現金の出し入れと残高照会程度の機能にしか音声案内が対応していない。一方、ネットバンキングなら、振込や明細確認はもちろん、宝くじを買うことだってできるのだ!

そして、買い物も、スーパーマーケットからショッピングサイトへと変わった。隅から隅まで、商品の説明をゆっくり聴いては悩みに悩み、結局買わないこともよくある。全盲の私もウィンドウショッピングが楽しめる!インターネットは「見るだけ、買わない自由」もくれた。

○激増する画像中心のコンテンツ

ところが、最近とても困ったことが起きている。ブロードバンドの普及等、鮮明な映像を送ることが可能になった結果、画像中心のベージが主流となり、音声読み上げができる文字によるコンテンツが激減したのだ。

仕方がないので、目が見える友人に電話をして、2人で同じホームページを開いて、商品の説明をしてもらう。たとえば、紳士用ベルトがほしくて輸入品のサイトを訪れた時だった。音声で確認可能なのはブランド名と値段のみだったが、友人が「カジュアルで、明るい茶色だよ」と教えてくれた。まさにめざす物だった。また、1円オークションでソックスを見付けたが、「今流行の物だけど、丈がくるぶしまでしかないよ」と教えてもらい、安いけれど寒そうなので止めたこともある。

こうして、5年前までクレジットの明細を読んでもらっていた友人に、また目を借りることになってしまった。けれど、私はこれからもぜひ、一人で買い物をしたいと思う。夢は、現在一部の百貨店の実店舗で視覚障害者を対象に実施されている「ショッピングアシスタント」のインターネット版で、電話やメールによる求めに応じて、オペレーターがホームページの商品の画像を言葉で解説してくれるような人的サービスの導入だ。

インターネットが、いつまでもいつまでも、障害がある人にもない人にも、便利なツールであり続けるようにと、心から願っている。

(かわだりゅういち 著述業)