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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年8月号

夢が実現、10年後の私

パソコンと私 そして、未来

大石とみえ

私は、1949年生まれの57歳の女性です。私の視力は、右0、左0.03ぐらいです。仕事はあんま、マッサージ、指圧です。

私は生まれつき目が見えなかったために、盲学校に入って学びました。学校では、点字一筋でした。小学生の頃、姉や妹が学校で文字を学んでいるのを知り、私はうらやましくもありました。しかし、しょせん私は見えないので読むこともできないと思っていました。盲学校でも、点字以外は教えてくれませんでした。それは、文字を見ると視力が下がる可能性があるからだそうです。先生方の考えでした。

しかし、5年ほど前にパソコンを知り、私は文字を書くことを覚えました。きっかけは、ある歌手にファンレターを書きたいからでした。このような理由からパソコンを始めた訳ですが、今では、メールはもちろん、診察の予定などもパソコンを使って管理できるようになりました。インターネットも少しずつですが挑戦しています。ファンレターはまだ書いていませんが…。

モニターの画像を触って確認

このように普通の文字を書き、清眼者にも読んでもらうことができる、こんなことができるようになるとは幼い頃には、思ってもいませんでした。今、私がここまでパソコンを操作できるようになったのは、アットイーズというパソコン会社からサポートを受けているからです。

この会社は、視覚障害者や高齢者などさまざまな人たちにパソコンの使い方などを教えています。このようにサポートをしてくれる会社が世界各国にあれば、会員同士がメールを通して知り合い、世界中の人たちと交流することができれば、齢を取っても楽しむことができるのではないでしょうか。もちろん、その時にはソフトも改良され、どこの国の言葉も翻訳してくれることが条件ですが…。

パソコンが使えるようになって、いくつか希望があります。メールのやりとりをしていると友達から写真などの画像データを送ってもらうことがありますが、私は見ることができません。しかし、送られてきた画像がモニターに浮き出て触ることができれば、送ってくれた画像について友達ともっと話ができるのになぁと思います。

また、パソコンのモニターを利用して、行きたい場所の地図が音声案内や触ることによってわかれば、あらかじめパソコンで検索をして頭の中の地図に入れておくことができます。そうすれば楽に移動ができそうです。

音声ナビを使って海外旅行!

移動することは、視覚障害者にとって、大きな課題です。私の仕事は夜も往診があります。仕事が終わると午後11時をまわるときがあります。駅の周辺であれば人通りもありますが、住宅街ではあまり人が歩いていないので、道に迷ったときに聞くこともできません。そんなときにこんなものがあるといいな、と思うものがあります。

それは、現在すでにできているのかもしれませんが、最寄りの駅名を声で入力すると場所を音声で教えてくれるナビゲーションシステムです。最寄り駅を音声で入力すると「道を直進して、突き当たりを右に行けば何々駅です」と案内してくれたら、安心して歩くことができます。それから、患者さんの家に往診に行くとき、患者さんの電話番号を入力するとナビが最寄り駅から目的地までの近道を音声で案内してくれる。そんなナビゲーションシステムがあるといいなと思います。このナビゲーションシステムは、たとえば空港のロビーの案内に応用できそうです。

これからはお年寄りが増えますから、簡単に操作できるITはますます必要になってくると思います。世界中の人たちが楽しむことができ、生きがいが生まれてくるような機種が必要なのではないでしょうか。

今、生きているということは、すばらしいことだと感じています。最新技術の発展で今までできなかったことができるようになったり、新しい機種ができたりして、どんどん変化しています。IT環境もどんどん進んでいくでしょう。これからどのように変化していくのか、楽しみです。

最後に、私の最大の夢は、宇宙ステーションに行き、そこからパソコンで地球の友達に「地球は青かった」なんて言えたら最高でしょうか。

(おおいしとみえ あんまマッサージ指圧師)