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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年9月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

上越市の負担軽減策

上越市

障害福祉ビジョン

新潟県の西部に位置する上越市は、平成17年1月1日に全国最多となる14市町村の合併で誕生した人口約21万1千人、面積972平方キロメートルの上杉謙信公ゆかりの地方中核都市です。

当市では、社会福祉基礎構造改革に伴い障害者を取り巻く環境が大きく変わることを受けて、合併前の平成14年から福祉、教育、医療、労働など当事者を含む三障害の関係者からなる障害福祉ネットワークを構築し、ノーマライゼーションを実現するための取り組みを官民協働で行っています。

平成16年には、高齢者や障害者が地域で安心して暮らすためのさまざまな相談に24時間365日ワンストップで対応する総合相談支援センターや、障害者の一般就労を地域全体で支援する就労支援センターを核とする福祉総合拠点整備構想をまとめました。

当市では本構想をさらに一歩進め、上越福祉圏域(3市)全体をスーパーバイズする福祉総合拠点として、本年3月に閉校となった県立の盲学校をリニューアルし、平成20年度のグランドオープンめざして準備を進めているところです。

負担軽減策の背景

ノーマライゼーションの理念に基づき導入された支援費制度により、障害保健福祉施策は特に居宅サービスで飛躍的に充実しましたが、同時にさまざまな制度上の問題点が浮き彫りになってきたことから、わずか3年で障害者自立支援法に切り替わりました。

障害者自立支援法は、障害者施策の三障害一元化や安定的な財源の確保など大変優れた制度ではありますが、利用者負担や事業運営をめぐって利用者及びサービス提供事業者から不安と不満の声が上がっているほか、自治体の側にも三位一体改革による財源確保が不透明なこと等による困惑があるところです。

少子高齢化や人口減少が進む社会では、安定的な財源の確保は避けて通れない問題であり、利用者本位のサービス基盤の整備と合わせて、利用者もサービス量に応じて原則1割の定率負担をするという仕組みは大方の賛意を得ていると思います。しかしながら、施設から地域へという流れの中で定着してきた在宅福祉サービス利用者の負担が急激に増えること、障害の程度が重い人や低所得の人ほど負担が大きくなることなど、利用者負担のあり方について配慮が必要との判断から、市として一定の軽減策を講じることとしました。

市独自の負担軽減策

国の制度では、所得に応じて4区分の月額負担上限額や個別減免などの利用者負担軽減策が講じられていますが、当市では、社会福祉法人が利用者負担軽減措置を行った場合の公費助成制度に着目した独自の軽減措置を採っています。

1.事業者に対する減免策

国の制度では原則社会福祉法人のみが対象とされていますが、利用者が法人によって減免措置を受けられないというような不利益が生じないように、県が指定するサービス事業者すべてを対象として認めるとともに、法人が負担すべき費用を市が負担することとしています。また、短期入所サービスも対象にしています。

2.利用者への軽減策

国の制度では市民税非課税世帯に属する障害者で、収入や資産が一定以下の利用者の負担上限額を実質半分まで引き下げる軽減措置を講じていますが、市ではこの実質上限額に達しない部分についても、低所得1では2分の1を、低所得2では4分の1をそれぞれ軽減することとしています。

おわりに

多くの障害者の皆さんの声は、「利用者負担が増えた」「今後も今のサービスが受けられるのか」という不満、不安に集約されるようです。

障害者自立支援法は10月から、地域生活支援事業や障害福祉計画策定など地方自治体にとって試金石となる事業が目白押しです。障害者の自立と社会参加の促進という基本理念実現のため、地域関係者が一丸となって、だれもが住み慣れた地域で安心して暮らせる社会を構築していかなければならないと考えています。

(上越市健康福祉部福祉課)


上越市の障害福祉サービス利用者負担額助成
図 上越市の障害福祉サービス利用者負担額助成拡大図・テキスト