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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年11月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

別府市独自の負担軽減制度等について

別府市

1 負担軽減制度導入の経緯について

平成18年4月1日から障害者自立支援法が施行され、給付サービスを受ける場合は、原則1割の負担とされたことは周知のとおりですが、障がい者やご家族の皆様からは、負担増を感じている、施設を退所している、利用を控えている、思案をしている、食事を控えているなどの声が上がりました。そこで、別府市独自に市内の施設等で調査を実施しました。調査内容は、4月から5月の2か月間で退所をした者9人、利用を控えた者9人、思案をしている者8人、食事を控えた者90人という結果でした。

また、各種障がい団体からの陳情もお受けし、皆様の声をお聞きしました。実際に私たち担当者も3月分と4月分の所得階層による利用料の変化について、それぞれの該当者の試算をしてみたところ、負担増になっている事実も確認しました。

このような中、昭和48年に別府市は身体障害者福祉モデル都市の指定も受けており、市長の福祉施策が市民の目線に立って行うとの観点から、今後の事業の推移や事業に及ぼす財源を考慮しながら障がい者の負担を少しでも軽減し、社会参加の促進と福祉の増進を図るために、別府市独自の負担軽減制度措置導入を決定しました。

2 負担軽減方法について(表参照)

対象者は、在宅サービス及び通所施設の利用者で、入所施設利用者は対象外とします。

一般(課税世帯)につきましては、国基準を三つのランクに分けて、1は、本人または配偶者もしくは、扶養義務者等の年間総所得290万円(年収430万円)を超える世帯は、国基準のとおり37,200円とし、一般2は、本人または配偶者もしくは、扶養義務者等の年間総所得290万円(年収430万円)以下の世帯を37,200円から24,600円とし、一般3は、市民税均等割世帯を37,200円から12,300円に軽減します。

低所得2(非課税世帯:世帯3人世帯であれば、障害基礎年金1級も含めて、おおむね290万円以下の年収の方)につきましては、国基準の2分の1、12,300円に軽減します。低所得1につきましては、国基準の2分の1、7,500円に軽減します。

また、通所施設を利用している課税世帯が負担している食事代・人件費(420円×22日×90%)約8,000円を軽減します。

軽減実施月日は、平成18年10月1日から適用いたします。

実施期間については、国の制度経過見直し期間に合わせた3年間の激変緩和経過措置とします。

表 別府市負担上限額措置

月額負担上限額について

区分 月額負担上限額 世帯の収入状況
一般 課税世帯 1.37,200円 市民税課税世帯であって、本人又は配偶者若しくは、扶養義務者等の総所得年間290万円(総収入額430万円)超の方
2.24,600円 市民税課税世帯であって、本人又は配偶者若しくは、扶養義務者等の総所得年間290万円(総収入額430万円)以下の方
3.12,300円 市民税均等割のみ課税世帯
低所得2 非課税世帯 12,300円 市民税非課税世帯
(世帯3人世帯であれば、障害基礎年金1級も含めて、概ね290万円以下の年収の方)
低所得1 7,500円 市民税非課税世帯で、障がい者の収入が年80万円(障害基礎年金2級相当額)以下の方
生活保護 0円 生活保護受給世帯

3 地域生活支援事業

地域生活支援事業のうち、次に掲げるものについては、それぞれ個別の負担上限額とします(別府市負担軽減措置表を適用)。

  • 日常生活用具等給付事業
  • 移動支援事業
  • 身体障害者自立支援事業
  • 生活サポート事業
  • 経過的デイサービス事業

4 大分県との共同による軽減措置

『通所授産施設の利用の中止や利用控えを支援し、就労意欲の向上を図りサービスの利用を促進する目的』として、1.国のメニューである就労移行支援または就労継続支援B型に移行が想定される施設1人当たり@350円×22.5日×0.95(財源・大分県2分の1、別府市2分の1)を軽減します。

『児童デイサービス利用者に対し、利用促進支援を行うことにより利用中止等の防止を図る』ために、2.就学児1人当たり@550円×4日分と、未就学児1人当たり@650円×8日分(財源・大分県2分の1、別府市2分の1)を軽減します。

3.適用日数は、月あたりの日数とする。

4.軽減期間は、いずれも平成18年10月から平成22年3月31日までとする。

5 今後の障がい者施策のあり方について

各施設や事業所においては、国の示すメニューに沿って移行する事業や、地域生活支援事業のどれを選択していくのか、人・物・お金のあり方が問われています。障がい当事者も自立支援法制度の複雑さや難しさもあり、10月以降になって改めていろいろなメリットやデメリットが浮上してきています。当市にとっても未曾有の困難な状況ですが、今後の社会保障制度をどう構築していくのか、厳しい財源の中で正念場を迎えます。

当市では、別府市地域自立支援協議会・障害福祉計画策定委員会を4月に立ち上げ、各界階層の方にご参加いただき、多くのご意見を頂戴し、当事者である障がい者のご意見も伺っています。これらを基に、障がい者の自立に向けた社会参加の促進と福祉の増進を図るために、本当に必要なサービスがあまねく公平に受けられるよう、取り組んでまいりたいと考えています。

(別府市福祉保健部障害福祉課)