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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年5月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

さいたま市における独自の激変緩和策

さいたま市

本市独自の激変緩和策実施の経緯

障害者自立支援法施行後、その影響について、状況の把握に努めていましたが、4月から8月の5か月間のサービス利用状況では、全体的に減少し、その影響を受け、施設の収入も減収となっていました。

また、市議会9月定例会においては、障害者自立支援法関連の条例改正に対し、「法の趣旨を踏まえ、本市独自の激変緩和策を講じること」という付帯決議が全会一致で採択されました。これらのことを踏まえ、障害福祉サービスの利用及び提供体制の安定化を図るため、12月議会の議決を得て、市独自の激変緩和策を実施することとなりました。

本市独自の激変緩和策の内容

利用者に対する激変緩和策は、一つ目が、「在宅サービス利用者負担助成」で、対象者は低所得1及び2の方とし、対象サービスは介護給付及び訓練等給付です。なお、施設入所支援利用者は除きます。また、地域生活支援事業の移動支援事業と日中一時支援事業も対象としています。二つ目が、「障害児施設利用者負担助成」で、対象者は低所得1及び2、さらに一般のうち、対象児童が18歳未満で児童手当受給基準に準じた所得の保護者まで拡大しています。対象サービスは入所及び通園の障害児施設です。助成の内容は、どちらも1割の定率負担額として、実際に支払った費用の2分の1を償還払いで助成します。

次に、施設に対する激変緩和策は、「通所施設運営安定化支援」で、市内にある民間の身体及び知的障害者通所施設に対し、18年3月定員に対する収入との差額の2分の1を助成します。実施期限は本年1月から法律の見直しが予定されている平成20年度までです。

本市独自の激変緩和策と、4月から実施している国の更なる軽減策との関係

昨年末に国が新たな改善策を打ち出したことにより、4月以降、市と国の二つの激変緩和策が存在することとなりますが、利用者負担については、利用したサービス量によって、国の施策が上回る部分と市の施策が上回る部分が生じますので、利用者にとって負担の少ないほうを適用することとしています。

それでは、具体的に事例で説明します。資料1の「国改善策と市激変緩和策の関係図」ですが、横軸がサービス利用量、縦軸が1割の利用者負担額です。これは、低所得1の例ですが、サービス量15万円を基点として、利用者負担額1万5000円を上限として右に延びているAの線が従来の国制度による負担上限です。同じく、サービス量15万円を基点として、利用者負担額2分の1の7500円を上限として右に延びているBの線が市施策による負担上限です。サービス量3万7500円を基点として、利用者負担額3750円を上限として右に延びているCの線が国の改善策による負担上限です。低所得1で利用したサービス量が7万5000円とした場合、1割の利用者負担は7500円です。市の施策は負担した額の2分の1を助成しますので、最終的な利用者負担は7500円の2分の1で3750円です。一方、国の施策は低所得1の上限を4分の1の3750円に下げるものですから、1割の7500円であっても、こちらも3750円で同額となります。つまり、この7万5000円が分岐点で、7万5000円のサービス量未満であれば、市の施策のほうが利用者負担が少ないため、市の施策を適用します。

資料1 国改善策と市激変緩和策の関係図
資料1 国改善策と市激変緩和策の関係図拡大図・テキスト

また、市の施策が上回る部分1と2の部分のうち、サービス利用量が3万7500円までの1の部分は、3月までと同様に2分の1を助成します。たとえば1万円のサービス量であれば、1割の利用者負担は1000円、市の施策では2分の1で、500円となりますので単純に500円を助成します。サービス量が3万7501円から7万4999円までの2の部分は、たとえば利用したサービス量が4万円とすると、1割の利用者負担は4000円です。市の施策で、2000円となりますが、国の施策では上限額の3750円となるため、3750円から2000円を差し引いた1750円を助成します(資料2)。

資料2 市の激変緩和策と国の改善策の比較

■利用者負担

  対象者 内容
市激変緩和策 低所得1、2 負担した額の1/2を助成
国軽減策 低所得1、2
一般(所得割10万円未満)
負担上限額を1/4に軽減

(低1の例)

利用したサービスの量 利用者負担(1割)
※上限15,000円
市激変緩和策
(負担した額の1/2)
国軽減策
(上限3,750円)
100,000円 10,000円 5,000円 3,750円
75,000円 7,500円 3,750円 3,750円
40,000円 4,000円 2,000円 3,750円
10,000円 1,000円 500円 1,000円

■施設支援

市激変緩和策 国改善策
18年3月報酬との差額の1/2を補助 18年3月報酬の90%までを保障
(例)その月の収入が85%の場合
市激変緩和策 85%→92.5%(15%×1/2)92.5%-90%の部分を補助
国改善策 85%→90%

また、通所施設に対する激変緩和策については、市の施策のほうが若干手厚い支援となっていますので、国の施策に加えて、市の施策が上回る部分について引き続き市の施策を適用します。

(さいたま市保健福祉局福祉部障害福祉課)